1995 Fiscal Year Annual Research Report
大腸上皮性悪性腫瘍におけるEpstein-Barr Virusの感染性について
Project/Area Number |
07770138
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
伊藤 裕啓 大阪医科大学, 医学部, 助手 (10232480)
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Keywords | 大腸上皮性腫瘍 / Epstein-Barr Virus |
Research Abstract |
生検およびポリペクトミ-で得られた正常粘膜5例、中等度異型腺腫20例(腺管腺腫9例、腺管絨毛腺腫11例)、腺癌13例(高分化5例、中分化7例、低分化1例)を用いて大腸上皮性腫瘍におけるEpstein-Barr Virus(EBV)の感染性について検索した。初めに、ホルマリン固定・パラフィン含理した標本を用い、in situ hibridization法によってEBV-EBERの発現の有無を調べた。次に同じ標本を用いてタンパク除去後、フェノール・クロロホルム法およびエタノール沈殿を行なってDNAを抽出し、PCR法を用いてEBVのnuclear antigen geneであるEBNA-1領域を増幅した。結果はin situ hybridizationによる検索では今回行った症例中には、腫瘍細胞には明らかな陽性所見は得られなかった。また、PCR法を用いた検索も、現在まだ進行中であるが、今のところ明らかな腫瘍細胞へのEBVの感染を示唆するような所見は得られていない。尚、PCR法を用いたEBV遺伝子の検索は、現在のところPCRで増幅した遺伝子を2%のアガロースゲルで電気泳動し、エチジウムブロマイドを用いて紫外線下での観察のみであり、EBNA-1のinternal probeを用いたSouthern hybridizationによる検索はすべての症例に行われておらず、現在進行中である。また、EBVのLatent Menbrane Protein-1に対する抗体(EBV,LMP-1,clone:CS1-4,Dako)を用いてABC法で免疫染色を行ったが陽性細胞は見られなかった。現在までは、大腸上皮性腫瘍には明らかなEBVの感染は見られなかったが、最近リンパ球浸潤の強い低分化腺癌にEBVの感染が認められた1例報告があり、今後は症例数をもっと増やして検索していきたいと思う。
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