1995 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト骨肉腫培養細胞におけるインテグリン分子の発現と浸潤能における役割
Project/Area Number |
07770148
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
川島 篤弘 金沢大学, がん研究所, 助手 (20242563)
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Keywords | インテグリン / 骨肉腫 / フィブロネクチン / 培養細胞 / TNFα |
Research Abstract |
我々はこれまでに,低転移性であるヒト骨肉腫培養細胞OSTを用いて,細胞外マトリックスの分解に関わるMMP-9の発現が,浸潤転移にどのような役割を果たしているかを調べてきた.今回は,OSTにおける各種インテグリンの発現をRT-PCR法を用いてスクリーニングし,TNFα刺激によりどのインテグリンが増加あるいは減少するのか調べた.また,Fibronectin(FN),vitronectin(VN)をリガンドとする細胞接着試験を行った,さらに,細胞内伝達機構を調べる目的でPKC assayも行った. 結果と考察 未処理OSTはα2,α3,α5,α6,αv,β1,β3,β5を発現しているが,TNFα刺激を受けるとα5の発現が激減した.免疫沈降法においても細胞表面のα5の減少が示された.αv,β1,β3,β5の発現には差は見られなかった.細胞接着試験では,FNに対する接着性に差はなかったが,VNに対する接着性はTNFα刺激で有意に低下した.またPKC活性はTNFαにより有意に低下した.FNは現在までに,FN分子中の細胞接着に関与する構造はRGD配列であることがわかっており,主としてα5β1(VLA-5)インテグリンがこの配列を認識する細胞膜レセプターであると言われている.OSTではα5の発現低下により正常に機能するフィブロネクチンレセプターの合成が障害され,基質に対する接着性の低下が運動能の増加をもたらし,さらにはMMP-9の分泌増加と相まって最終的にOSTの転移の増加につながったのではないかと推測している.PKC assayにおいて,protein kinaseの活性化剤として知られているPMA刺激でもPKCの活性が低下したので,OSTではインテグリンによって引き起こされる細胞内伝達機構にalternative pathwayがある可能性が示唆された.
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