1995 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞の増殖と細胞死の加齢変化および食餌制限の影響に関する細胞生物学的研究
Project/Area Number |
07770155
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
樋上 賀一 長崎大学, 医学部, 講師 (90253640)
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Keywords | 老化 / 職餌制限 / 細胞増殖 / 細胞死 / サイクロヘキシミド / PCNA / TUNEL / 肝細胞 |
Research Abstract |
1.in vivo肝細胞の増殖と細胞死における加齢変化とDRによる影響 ad libitum(AL)およびdietary restriction(DR)feedingされた3,6,15,24カ月齢の雄F344ラットから摘出した肝臓の4%パラホルム固定、パラフィン包埋切片において,proliferating cell nuclear antigen(PCNA)に対する免疫細胞化学、in vivoでDNA fragmentationを検出できるterminal deoxynucleotidyl transferase(TdT)-mediated dUTP-biotin nick endolabeling(TUNEL)を使用し,肝細胞の細胞増殖および細胞死の頻度を計測した.ALラット肝細胞のPCNA強陽性細胞率は加齢に伴い減少したが,DRラット肝細胞のPCNA強陽性細胞率は3から24カ月齢を通し低値を示し加齢変化を示さなかった.そして24カ月齢では逆にDRラットの強陽性細胞率がALラットに比し高い値を示した.またTUNEL陽性率は6カ月齢で低値を示し,その後加齢に伴い増加したが,AL,DR両群間に有意な差は認められなかった.すなわち加齢に伴い肝細胞の増殖能は低下するが,DRはこの低下を抑制する.また肝細胞死は加齢に伴い増加するが,DRは細胞死に強い影響を与えないと考えられた. 2.in vivo肝細胞の細胞死誘導能の加齢変化とDRによる影響 cycloheximide(CHX)の静注によりin vivo肝細胞に細胞死が誘導されると報告されている.そこでTUNELによりALおよびDR feedingされた6,24カ月齢の雄F344ラット肝細胞の細胞死誘導率の経時変化を検討した,6カ月齢ALおよびDRラット,24カ月齢DRラット肝細胞のTUNEL陽性率は経時的に増加し,2.5時間後にプラトーに達したが,24カ月齢ALラット肝細胞のTUNEL陽性率は経時的に増加し2.5時間後にもプラトーに達せず,4時間後まで有意に増加を示した.すなわち肝細胞のCHXに対する細胞死感受性が加齢に伴い増加しており,DRによりこの加齢に伴う感受性の増加が抑制された.またCHXにより誘導される肝細胞の細胞死の過程に関与していると思われるc-myc mRNAの発現レベルの定量化およびin situ hybridizationは現在進行中である.
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