1995 Fiscal Year Annual Research Report
サルモネラ属菌由来のクエン酸輸送タンパク質の精製と高次構造の解析
Project/Area Number |
07770198
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
島本 整 岡山大学, 遺伝子実験施設, 助手 (90187443)
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Keywords | サルモネラ / クエン酸 / 能動輸送 / 変異株 / ネズミチフス菌 / 膜タンパク質 / 高次構造 / 共輸送 |
Research Abstract |
能動輸送は、細胞内の恒常性維持や栄養物の取り込み、有害物の排出などにおいて重要な役割を果たしている。しかしながら、その機能を担っている輸送タンパク質の高次構造と機能の関係については、いまだ不明な点が多い。 本研究においては、ネズミチフス菌(Salmonella typhinmurium)のCitAクエン酸輸送タンパク質の基質認識が変化した変異株を分離し、その変異部位を同定することによってクエン酸輸送タンパク質の構造と機能の関係を解析した。通常CitAタンパク質が基質として認識できないイソクエン酸を利用できるようになった変異株を単離し、9株の変異アミノ酸残基を同定した。その結果、それぞれの変異株において単一アミノ酸残基の置換が認められ、計7カ所のアミノ酸残基に変異が見つかった(2株は同一アミノ酸残基の変異)。そして、それらのアミノ酸残基をCitAタンパク質の推定トポロジーモデル上に位置付けた。同定された変異アミノ酸残基は、一次構造上、隣接した位置に存在していなかったが、高次構造上基質認識部位またはその近傍に位置することが示唆された(論文投稿中)。本研究の結果より、輸送タンパク質の基質認識と高次構造(特に膜貫通領域とループ領域の関係)に関する重要な情報が得られた。 現在タンパク質の高次構造を決定するための最も有力な方法は、X線結晶構造解析である。そのためには、輸送タンパク質を大量に精製し、結晶化する必要がある。一般的に、輸送タンパク質のような膜タンパク質の大量発現、精製は極めて困難であり、結晶化にいたってはほとんど成功例がない。本研究においてクエン酸輸送タンパク質の精製を行うことはできなかったが、今後は大量発現系を構築することによって輸送タンパク質の精製と詳細な高次構造の解析を目指したい。
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