1995 Fiscal Year Annual Research Report
アルコールの肝再生抑制作用に及ぼすビタミンE欠乏の影響
Project/Area Number |
07770287
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
田中 隆 大阪市立大学, 医学部, 講師 (30227144)
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Keywords | アルコール / 肝再生 / ポリアミン / ビタミンE |
Research Abstract |
慢性アルコール投与による肝再生抑制に対してV.Eの欠乏がいかなる影響を及ぼすかを検討した。Wistar系雄性ラットをアルコール群とコントロール群の2群に分け,さらにそれぞれをV.Eの有無により2群に分けた.すなわち,V.E欠乏のアルコール食で飼育する群(EA群),V.E欠乏のコントロール食で飼育する群(EC群),通常のアルコール食で飼育する群(A群),通常のコントロール食で飼育する群(C群)の4群である.6週間のpair-feedingの後,70%の肝部分切除を行い,ornithine decarboxylase(ODC)活性,ポリアミン量,過酸化脂質量およびDNA合成を測定した.肝切後24時間目のDNA合成は,V.Eの有無にかかわらずアルコール投与群で有意な抑制が観察され,肝切後48時間目のDNA合成も,EA群がA群に比し低値を示す傾向がみられた.肝ODC活性は肝切後4時間目においてEA群が最も低値を示した.ポリアミンの中では,肝切後4時間目のEA群のputrescine量が他群に比し有意に低値を示した.spermidineとspermineに関しては慢性アルコール投与により低下したが,V.E欠乏の影響は見られなかった.一方,肝内過酸化脂質量は,V.E欠乏食投与群で有意な増加を認めたが,アルコール投与による影響はみられなかった.以上より,慢性アルコール投与はラット肝切後肝再生過程を抑制したが,V.Eの欠乏は抑制の程度を増強させた.その機序として慢性アルコール投与によるspermidine,spermineの低下に加えて,V.Eの欠乏がODCを抑制し,それに伴うputrescine量の低下がその後のDNA合成の抑制に関与している可能性が示唆された.
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Research Products
(1 results)