1995 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病が胎児奇形に及ぼす影響に関する実験病理学的及び細胞遺伝学的検討
Project/Area Number |
07770289
|
Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
柴崎 智美 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (20235568)
|
Keywords | 糖尿病 / 姉妹染色分体交換 / 胎児奇形 / KKマウス / C57BL / Ksj |
Research Abstract |
1.研究の目的:自然発症系のインスリン非依存型モデル動物を用いて比較的自然な条件下の糖尿病及び高血糖という胎児環境を作り、胎児肝における造血幹細胞の姉妹染色分体交換(SCE)を測定し、奇形合併頻度の少ないインスリン非依存型糖尿病モデルにおける母体血糖値の胎児奇形に対する危険性を明らかにする。 2.方法:10週齢C57BL/Ksj、KKマウスを各々交配し妊娠第3日目に帝王切開し、その胎仔肝の造血幹細胞及び、5週齢C57BL/Ksj10匹とコントロールとしてC57BL/6j10匹の大腿骨骨髄幹細胞を検査に供した。以上の造血幹細胞をBrdUを添加した10%胎仔牛血清加RPM11640培地で胎仔肝造血幹細胞は27時間、骨髄幹細胞は30時間遮光下に5%CO_237℃で培養し、染色体標本を作製した。その後Hoechst33258を用いたFPG法にて染色を行い、第2回分裂中期像を50個観察しSCEを測定した。 3.結果:(1)C57BL/Ksjについては15匹に対して交配を試みたが妊娠の確認は1匹もできなかった。そのためSCEの測定もできなかった。(2)KKマウスについては、若年メスでは糖尿病発症頻度が低いため、5週齢より固形餌飼育、粉末餌飼育、ブドウ糖の飲水負荷を行い血糖値の上昇を誘発した。14匹について交配を試み、9匹が妊娠したが、そのうち2匹は流産した。残り7匹についてSCEを測定した。解剖時の随時血糖値は137〜217mg/dl、細胞1個あたりのSCEの平均は6.3〜10.4、母親一匹あたりの胎仔数は8〜10匹であった。随時血糖とSCEの分布には一定の傾向は認められず、胎仔数が多くなる傾向がみられた。(3)5週齢C57BL/KsjとC57BL/6jの骨髄幹細胞SCEは平均3.5と3.23で両者に明らかな差は認められなかった。 4.まとめ:KKマウスについては随時血糖137-217mg/dlの高血糖条件下では血糖値は染色体組み換え異常には影響を及ぼない可能性が示唆された。
|