1995 Fiscal Year Annual Research Report
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の高度耐性化機構に関する研究
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07770339
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中尾 歩 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00207713)
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Keywords | MRSA / 高度耐性化 / insevtion uwtagensis |
Research Abstract |
メチシリンのMIC=16μg/mlの臨床分離MRSAでKAN96をrecipientとして、Tn918によるinsertion mutagenesisを行って得られたMIC=64μg/mlの高度耐性株KAN96H1トKAN96H2を用いて以下の実験を行い結果を得た。 1、KAN96H1及びKAN96H2をdonor、KAN96をrecipientとしてintenational typing phage96を介した形質導入実験を行ったところ、KAN96H2ですべてが16μg/mlであった。このことからKAN96H1はTn918の挿入が原因で高度耐性化した株であり、KAN96H2は挿入とは無関係に偶然得られた高度耐性株であると考えられた。 2、KAN96H1の染色体DNAを用い、pAM120をprobeとしてSouthern hybridizationを行ったところ、Tn918はHindIII6.1kbp断片に挿入されていることが明らかとなった。次いで、この断片を大腸菌にクローニングした。 3、クローニングされた断片の塩基配列をdideoxy法により決定した。この断片には同方向に連なる5つのORFが含まれており、オペロン様構造を有していることがわかった。 4、HindIII6.1kbpをprobeとして、KAN96、KAN96H1、KAN96H2のwhole cell RNAを用いてNorthern hybrodizationを行ったところ、KAN96では4.7kbの位置にbandを認めたのに対し、KAN96H1では2.3kbの位置にbandを認め、KAN96H2では全く発現を認めなかった。以上から、HindIII6.1kbはtranscr unitを含んでおり、その転写に異常が起きると高度耐性化が生じると考えられた。 5、由来の異なる黄色ブドウ球菌8株の染色体DNAを用い、HindIII6.1kbpをprobeとしてSouthern hybridizationを行ったところ、使用した8株全てがこの断片を保有していることがわかった。 以上の結果を元に、海外雑誌に投稿準備中である。
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