1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07770406
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
坂本 雅晴 久留米大学, 医学部, 助手 (60248367)
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Keywords | IL-1β / 伊東細胞 / 弛緩 |
Research Abstract |
IL-1βなどのサイトカインは肝病態と深く関与している。IL-1βは血管平滑筋細胞内でNitric oxide (NO)を生成し,cyclic guanosine 3', 5'-monophosphate (cGMP)を介して血管平滑筋を弛緩させる。これまで,我々は伊東細胞が収縮能を有し、肝類洞の微小循環に深く関与していることを報告してきた。そこで今回,IL-1βの伊東細胞弛緩作用について検討した。伊東細胞は,Wistar雄性ラット肝より分離し、24時間培養した。共焦点レーザー走査型顕微鏡を用いた蛍光抗体間接法により,伊東細胞内のinducible nitric oxide synthase (iNOS), cGMPの免疫局在およびcGMPに対する蛍光発光量について検討した。また伊東細胞に種々の濃度(0-1nM)のIL-1βを添加し,12時間後の細胞内cGMP濃度を測定した。さらに,IL-1β非添加群および1nMのIL-1β添加群の伊東細胞を12時間にわたり観察し,添加前後の同一伊東細胞の面積を比較検討した。共焦点レーザー走査型顕微鏡を用いた蛍光抗体間接法による観察では,1nMのIL-1βを添加することにより伊東細胞内のiNOS, cGMPの免疫局在の増加を認め,cGMPの蛍光発光量は有意に増加し,また伊東細胞内のcGMP濃度はIL-1βの濃度に依存し有意に増加した。IL-1β添加後の細胞面積は非添加群より有意な増加を認めた。このように,伊東細胞はIL-1βの刺激により弛緩することが示唆され,肝障害時に増加するIL-1βは,伊東細胞を弛緩させ肝類洞の血流調節に深く関与していると思われる。
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