1995 Fiscal Year Annual Research Report
虚血性脳血管障害における再発前血栓準備状態の臨床的定量評価の試み-若年発症脳梗塞例による解析-
Project/Area Number |
07770477
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
永山 正雄 東海大学, 医学部, 助手 (80208058)
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Keywords | 虚血性脳血管障害 / 血栓準備状態 / 若年性脳梗塞 / 凝固線溶異常 |
Research Abstract |
1.慢性期脳梗塞102例、健常対照37例について、凝固系活性化の指標としてthrombin-antithrombin III complex (TAT)の血中レベルを定量した。この結果、健常対照者におけるmean+2SD以上のTAT増加を atherothrombotic strokeでは37例中13例、cardioembolic strokeでは17例中7例、lacunar strokeでは48例中11例で認めた。さらにこれらの例のうち再発前4ケ月以内に測定しえた例においては、atherothrombotic strokeでは5例中5例、cardioembolic strokeでは3例中2例でTAT増加を認めた。よってTATは虚血性脳血管障害(atherothrombotic stroke, cardioembolic stroke)再発前の血栓準備状態を検出しうる鋭敏なマーカーと考えられた。 2.慢性期脳梗塞82例(45歳以下の若年発症例24例、46歳以上の非若年発症例58例)および非虚血性疾患33例について、activated protein C (APC) ratio(APC添加時APTT/非添加時APTT)の測定および血液凝固第V因子の遺伝子異常(Factor V Leiden)の有無につき検討した。計3回の反復測定でAPC ratioが2.0未満、すなわちAPC resistanceを呈した例は見られず、さらにPCR法を用いた遺伝子解析によりFactor V Leidenの有無を確認したがやはり本異常は1例においても見られなかった。よってこれらの異常の虚血性脳血管障害の血栓素因としての意義は人種差が存在することを明かとした。
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