1995 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト血管内皮細胞におけるNO合成酵素遺伝子の発現とその調節メカニズムの解析
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07770512
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
宮原 馨 高知医科大学, 医学部, 助手 (30229877)
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Keywords | NO合成酵素 / 血管内皮 / Spl / 転写因子 / プロモーター |
Research Abstract |
ヒト血管内皮型の一酸化窒素(NO)合成酵素(eNOS)遺伝子の5′上流域にはTATA boxはなく、GC含量が高いハウスキーピングな遺伝子の特徴を有してる。この遺伝子の2.2kb上流域のプロモーター活性を血管内皮細胞を用いてCATアッセイにより解析してみると、-2200から-116までの領域においては、活性の変動がほとんどみられなかった。しかし、-97までしか含まない領域では、活性は急激に低下し、ベイサルレベルであった。この領域を含む塩基配列と血管内皮細胞からの核抽出物でゲルシフトアッセイを行うと三本の特異的なバンドが検出された。これらのバンドは、正常な配列のDNAにより競合するが、Spl結合配列が変異したDNAでは競合しないことから、このSpl結合配列を認識する蛋白質因子が存在することが解った。抗Spl抗体の存在下でゲルシフトアッセイを行うと、三本のうちもっとも遅いバンドが消失し、スーパーシフトしたバンドが検出された。さらに、このSpl結合配列が変異した上流領域は、CATアッセイの結果から、プロモーター活性が消失することが判明した。これらの結果から、Spl結合配列を含む100bp上流領域が、コア・プロモーターとして働いていることが解明された。 一方、もう一つのタイプの誘導されるNO合成酵素(iNOS)遺伝子の発現はヒトの組織においては、血管平滑筋などにおいて確認されている。ヒト血管内皮細胞で種々の薬物を投与し調べた結果、ILlβとIFNγとが共存するときiNOSのmRNAが検出され、内皮細胞でも誘導され発現することが判明した。このiNOS遺伝子の転写調節を解析するために、マクロファージ型のNO合成酵素遺伝子をヒトゲノムライブラリーより単離した。上流約3800bpにわたる領域の塩基配列を決定したところ、-1500と-2300には100bpのダイレクト反復配列が存在していた。CATアッセイによって、-406まではサイトカインで誘導がかかりプロモーター活性は上昇した。このことより、この上流域が、サイトカインによる誘導に必須であることが解った。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Wariishi,S.et al.: "A Spl Binding Site in the GC-Rich Region Is Essential for a Core Promoter Activity of the Human Endothelial Nitric Oxide Synthase Gene." Biochem.Biophys.Res.Commun.216. 729-735 (1995)
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[Publications] Miyahara,K.et al.: "Cloning and Structural Characterization of the Human Enoothelial Nitric-Oxide-Synthase Gene." Eur.J.Biochem.223. 719-726 (1994)