1995 Fiscal Year Annual Research Report
先天性無ガンマグロブリン血症におけるBTK遺伝子変異部位と臨床像との関連の究明
Project/Area Number |
07770557
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大橋 芳之 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (60250825)
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Keywords | 伴性無ガンマグロブリン血症 / 遺伝子 / ブルトン型チロシンキナーゼ / 変異 |
Research Abstract |
【はじめに】先天性無ガンマグロブリン血症症例についてBTK遺伝子の解析を行い、変異部位と臨床像との関連について検討を行った。 【方法】EBウイルスによる患者末梢血由来Bリンパ芽球様細胞株の樹立:症例1(成年期発症症例)、症例2(顆粒球減少を伴った症例)についてはEBウイルスによりBリンパ芽球様細胞株の樹立に成功し、それを材料とし遺伝子解析を行った。 2 先天性無ガンマグロブリン血症におけるBTK遺伝子変異検出システムの確立:患者細胞よりRNAを抽出し、BTK特異的プライマーを作製し、cDNAを合成、それを鋳型にPCRを行った。PCRプライマーは、BTKcDNA全領域を7つにわけて各領域を増幅できるように作製した。各領域については300-400bp程度のPCR産物が得られるが、それぞれを適当な制限酵素で切断し200bp程度の2つの断片にした後SSCP解析の試料とした。SSCPは常法に従い行い、その結果変異の認められた領域については塩基配列の決定を行い、変異を同定した。 【結果および考察】症例1は成年期に発症し、伴性無ガンマグロブリン血症(XLA)の典型的な臨床経過を呈さない症例であったがBTK遺伝子の解析結果ではBTKキナーゼドメインの638番のアラニンを欠失させることが予想される3塩基欠失が認められた。このアミノ酸はキナーゼ活性に直接関与するモチーフ内には存在しないが、蛋白の安定性、構造の維持に役割を果たしていることが推察された。この症例では慢性的な経過でB細胞分化障害をきたしているのかも知れないが、この変異と臨床像との関連についてはさらに蛋白レベルでの解析を要する。症例2では、PCRで増幅されない領域が認められその変異領域について、塩基配列の解析を進めているところである。
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