1995 Fiscal Year Annual Research Report
周性期における循環器系の形態変化及び適応現象の解明
Project/Area Number |
07770559
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
田村 真通 秋田大学, 医学部, 助手 (10270844)
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Keywords | 周性期の形態変化 / 全身急速凍結法 / 新生仔ラット / 心筋重量 / 冠状動脈径 |
Research Abstract |
Wister種の新生仔ラットに対し、生後3時間、1日、2日、4日、8日に全身急速凍結法を用いて固定した後に各種心血管系の形態変化を検討し、以下の結果を得た。 1.上行大動脈径:3時間から8日にかけて経時的に増加傾向を示した。 2.左室及び右室容積:左室容積は3時間から1日では有意の変化を示さなかったが、2日から8日にかけては経時的に増加傾向を示した。一方右室容積は3時間から8日にかけて経時的に増加傾向を示した。 3.心室壁厚:左室壁厚は3時間から8日にかけて経時的に増加した。一方右室壁厚は3時間から1日にかけて減少し、その後有意の変化を示さなかった。 4.心室心筋重量:左室及び右室の心筋重量は、ともに3時間から8日にかけて経時的に増加したがその増加率は左室で有意に大きかった。 5.冠状動脈径:左冠状動脈径は、3時間から1日にかけて軽度減少し、その後増加する傾向を示した。右冠状動脈径も同様に3時間から1日にかけて減少したが、その減少率は左冠状動脈よりも大きかった。その後2日から8日にかけて増加する傾向を示したがその増加率は左冠状動脈よりも小さかった。 6.冠状動脈径心筋重量比:左冠状動脈径心筋重量比は3時間から2日にかけて減少した。その後4日から8日にかけて増加傾向に転じた。右冠状動脈径心筋重量比もほぼ同様の経過を示した。 以上の結果は新生児期の心血管系の適応が必ずしも一様ではないことを示している。特にその結果として、冠状動脈径心筋重量比が生後早期に一時的にせよ減少傾向を示すことは、新生児期の心機能適応を考えるうえで興味深い。また臨床的に、新生児が容易に心不全をきたしやすいことの一つのメカニズムと考えられる。今後さらに詳細な検討が必要と思われる。
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