1995 Fiscal Year Annual Research Report
ネフローゼ症候群末梢血Tリンパ球由来血管透過性因子の精製とアミノ酸配列解析
Project/Area Number |
07770564
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鳥谷部 真一 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (20227648)
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Keywords | ネフローゼ症候群 / 血管透過性因子 |
Research Abstract |
特発性ネフローゼ症候群患児の末梢血Tリンパ球が産生する血管透過性因子(VPF)のN末端アミノ酸配列を解析する目的で下記の検討をおこなった. 同一患者において,ネフローゼ期及び寛解期の患児Tリンパ球をConA存在下に培養して上清を得た.VPF活性は,既報の如く培養血管内皮細胞のアルブミン透過性を亢進させる活性と,直接マウスの尾静脈に培養上清を静注して尿中蛋白を増量させる活性の,二つで検討した.いずれの方法でもネフローゼ期にVPF活性を認めた. 次に培養上清を濃縮してカラムクロマトグラフィーで分画し各分画のVPF活性を同様に測定したところ,分子量10kD前後からそれ以下の分画において強いVPF活性を認めた.そこで上清中の低分子量の蛋白を調べるために,培養上清をトリス-トリシンSDS-PAGEで解析した.ゲルに銀染色を施すと,寛解期の患児Tリンパ球培養上清と比較して,ネフローゼ期では12kDと6kDに相当するバンドがみられた. これらの蛋白のN末端アミノ酸分析を行うため,PDVF膜にエレクトロブロットし,CBB染色を行った.しかし蛋白量が少ないためかサンプルを濃縮しても,銀染色でみられた6kDのバンドはCBB染色ではみられなかった.12kDのバンドはかろうじてCBBでもみられたので,切り取って気相シークエンサーでN末端を解析した.しかしサンプルが少ないか,N末端がブロックされているため解析はできなかった. 小児科領域では大量の検体を得られないという問題点がある.したがって今後は,differential display法,random amplified polymorphic DNA法などPCRを応用して,ネフローゼ期Tリンパ球に特異的なmRNAを分離する必要がある.
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