1995 Fiscal Year Annual Research Report
新生児・乳児期のガラクトース血症に関する基礎的・臨床的研究
Project/Area Number |
07770578
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
江口 恭慈 広島大学, 医学部, 助手 (80253061)
|
Keywords | ガラクトース血症 / マス・スクリーニング / ガラクチトール |
Research Abstract |
広島県内でガラクトース血症マススクリーニングにて精密検査を必要と判定された児の全例を対象に、酵素学的診断(赤血球中のガラクトース代謝関連3酵素活性の測定および等電点電気泳動法による変異酵素の検索)および尿中ガラクチトールなどのガラクトース代謝産物測定を行った。 平成7年度(平成7年4月〜8年2月末現在)の対象患児は42例であり、その酵素学的診断による内訳は、Uridine diphosphogalactose 4-epimerase(EP)欠損症1例、同症ヘテロ保因者8例、Galactose-1-phospate uridyltransferase(UT)欠損症ヘテロ保因者2例、UT変異酵素1例、Galactokinase欠損症ヘテロ保因者1例、酵素学的に正常29例であった。EP欠損症の1例と酵素学的に正常の2例でガラクトース高値が持続し、うち後者の2例は尿中ガラクチトールも高値が持続し、乳糖除去ミルクによる治療が必要と判定した。この2例は肝多発性血管腫、門脈肝臓静脈シャントを認め、消化管から吸収されたガラクトースが肝臓で代謝されず大循環に入ることが、高ガラクトース血症の原因と考えられた。 これらの知見は当院小児科外来での通院患児の診療に直接利用し、良好な予後を得ている。また県外の医療施設からの依頼も年々増加し、酵素学的な確定診断をおこない、臨床に大きく寄与している。
|