1995 Fiscal Year Annual Research Report
小児白血病に対する遺伝子治療の基礎的研究:t(17;19)急性リンパ性白血病における融合遺伝子E2A-HLFの分子生物学的検討
Project/Area Number |
07770593
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
半澤 典生 横浜市立大学, 医学部・小児科学研究室, 助手 (80254168)
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Keywords | t(17:19)ALL / E2A-HLF / アレチセンス |
Research Abstract |
我々はt(17;19)を伴う急性リンパ性白血病の1例を経験し、この白血病細胞においてE2A遺伝子の再構成を認めたことにより、切断点は19番染色体はE2A遺伝子上に、17番染色体はHLF遺伝子上にあることが推測され、これをもとにプライマーを作成した。一方、再発時の骨髄細胞よりRNAを調整し、これよりcDNAを抽出し、作成したプライマーを用い、PCR(polymerase chain reaction)法により増幅し、このPCR productを切り出し、サブクローニング後、シークエンスを行い、390塩基の配列を決定した。それぞれE2A遺伝子exon12・13,intron,HLA遺伝子exon4由来で、また、E2A遺伝子の切断点より18アミノ酸上流にグリシンからセリンへのpoint mutationを認めた。これらに並行して、患者骨髄細胞よりcell lineを樹立した。今回はこのcell-lineと確認した塩基配列を用いてアンチセンス実験を試みた。確認した塩基配列をもとに20merのホスホチオネート型センス、アンチセンス(S-オリゴ)を作成した。Cell-line樹立時の培養液添加血清濃度は10%だったが、この濃度ではS-オリゴが崩壊する可能性があるため、まず、1〜2%の血清濃度でのcell-line樹立を行なった。そのcell-lineで、48時間培養を行ない最後の6時間で^3Hサイミジン取込み試験をトップカウントを用いて行った。コントロール、センス、アンチセンスを添加したところ、その細胞DNAへの^3Hサイミジン取込み比は4:2:1だった。コントロール、センス比が1:1とならなかったため、実験条件は不適と考え、適する実験条件の確立を試みた。現在、添加するS-オリゴ量の選定(1〜10μmol,max30μmolで施行した)・培養液の選定(RPMI,IMDM)等をいろいろ試みているが、結果は一定していない。現時点では至適な実験条件は確立されておらず、さらに今後の検討を要する。
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