1995 Fiscal Year Annual Research Report
川崎病患児末梢血単球産生の各種サイトカインプロフィルによる川崎病の病態解明--冠動脈病変の成因および、その病態解明--
Project/Area Number |
07770619
|
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
二瓶 浩一 東邦大学, 医学部, 助手 (20218241)
|
Keywords | 川崎病 / RT-PCR / サイトカイン / 病因 / 冠動脈 |
Research Abstract |
川崎病患児10名の末梢血単核球からの、各種サイトカイン(IL-1、IL-6、IL-8、TNF-α、TGF-β、GM-CSF)mRNA発現プロフィルをRT-PCR(reverse-transcriptase polymerase chain reaction)法を用いて検討した。川崎病急性期において、IL-1、IL-6、TNF-αmRNA発現は明らかな増強を認め、またIL-8、GM-CSFmRNA発現は軽度に増強を認めたが、回復期にはこれらのサイトカインmRNA発現は、低下を認めた。一方TGF-βmRNA発現は、回復期において増強していた。 対照群とした細菌感染症は、A群溶連筋による扁桃腺炎4名、ウイルス感染症としてはウイルス性肺炎4名の、川崎病患者と同じサイトカインmRNAの末梢血単核球における発現を検討した。 細菌性感染症においては、急性期にIL-1、IL-6、IL-8、TNF-αmRNA発現の明らかな増強が認められ、またGM-CSFmRNA発現も軽度増強が認められたが、回復期には測定した全てのmRNA発現の低下を認めた。一方ウイルス感染症においては、急性期に明らかな発現の増強を示したのはIL-1mRNAのみであり、IL-6、IL-8、TNF-α、GM-CSFmRNA発現は軽度増強が認められた。末梢血単核球からのサイトカインmRNA発現のプロフィルからは、川崎病の病因として細菌感染症の可能性が推測された。 今回検討した川崎病患児10例中、冠動脈病変は3例に認められた。これらの症例においては、回復期においてもIL-6、IL-8、TNF-αmRNA発現の強度な増強が認められており、心血管病変との関係が示唆された。
|
-
[Publications] 二瓶浩一 他: "川崎病患者における血清中免疫抑制産生蛋白の測定に関する研究" 日本小児科学会雑誌. 99. 499-505 (1995)
-
[Publications] 二瓶浩一 他: "Chamber型冠動静脈瘻の自然閉鎖を確認しえた川崎病既往児の1例" 日本小児科学会雑誌. 99. 1288-1292 (1995)
-
[Publications] Hirohisa Kato: "Kawasaki Disease" Elsevier Science B. V., 648 (1995)