1995 Fiscal Year Annual Research Report
膠原病患者に見られる自己抗体とその対応抗原の分子生物学的解析
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07770661
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
室 慶直 名古屋大学, 医学部, 助手 (80270990)
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Keywords | 膠原病 / 自己抗体 / 自己抗原 / 分子生物学 / 抗セントロメア抗体 / 抗クロモ抗体 |
Research Abstract |
膠原病は皮膚、関節、血管、および内臓諸臓器を病変の主体の場とする全身性自己免疫疾患である。申請者は軽症型強皮症の血清学的マーカーとされる抗セントロメア抗体(ACA)を用いてセントロメア抗原の同定、セントロメア蛋白の構造と機能の解析、疾患特異性の検討を行ってきた。新たな知見によるとACA陽性血清に共存する抗クロモ抗体はACA陽性血清にのみ存在し、同抗体陽性患者はACA陽性患者の中で全身性エリテマトーデスやシェ-グレン症候群といった他の膠原病の特徴を合わせ持った症例が多かった。このことは同抗体の同定がACA陽性患者において、強皮症以外の膠原病の積極的な検索ならびに強皮症患者におけるステロイド治療のひとつの指標となる可能性を示唆した点で臨床的意義があると思われる。またクロモ抗原のひとつp25のcDNAを用いた解析により大部分の同抗体はクロモドメインと呼ばれる種において保存されている領域を認識するが、一部はほかの領域と反応しているという所見を得た(以上論文投稿中)。また同一患者における維持的解析により、ACA陽性血清に新たに抗クロモ抗体が出現してきた3例を経験するなどの所見からセントロメア抗原とクロモ抗原の相互作用は明らかでないが各抗原における免疫反応の進行様式についてより詳細な解析が望まれる。またセントロメア抗原蛋白のうちのCENP-Aに関しては15アミノ酸残基よりなる合成ペプチドを利用してアミノ末端の極性に富む比較的短い領域が主要エピトープを形成していることが判明した(研究発表参照)。抑制試験の結果より同領域がCENP-Aのメジャーエピトープを形成している可能性が示唆されたことより同領域に対する免疫反応のより細かい検討(たとえばT細胞応答や実験動物を利用した免疫反応の維持的解析)が望まれる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yoshinao Muro: "A highly charged segment mainly composed 0f basic amino acids forms an autoepitope of CENP-A" Clinical Immunology and Immunopathology. 78. (1996)
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[Publications] Yoshinao Muro: "Encyclopedia of Molecular Biology and Biotechnology" VCH Publishers (New York), 3 (1995)