1995 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌因子の皮脂腺に及ぼす影響 -培養ヒト脂腺細胞による検討-
Project/Area Number |
07770711
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
赤松 浩彦 関西医科大学, 医学部, 助手 (10247900)
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Keywords | 培養脂腺細胞 / 甲状腺刺激ホルモン / α-メラニン細胞刺激ホルモン |
Research Abstract |
今回われわれは、脳下垂体で生成される各種ホルモンの皮脂腺に及ぼす影響を明らかにする目的で、甲状腺刺激ホルモン(TSH)およびα-メラニン細胞刺激ホルモン(α-MSH)の皮脂腺に及ぼす影響を、培養ヒト脂腺細胞を用いて細胞増殖、脂質生成を指標として検討した。その結果、TSHは培養ヒト脂腺細胞の細胞増殖を濃度依存性に有意に増加させることが判明した。THSと皮脂腺の関係に関しては、現在までほとんど報告はなく、唯一ラットを用いた実験で、TSHが甲状腺からの甲状腺ホルモンの分泌を亢進させることにより間接的に皮脂腺に影響を及ぼしている可能性が示唆されている。今回の結果より、ヒトにおけるTSHの皮脂腺に対する作用機序の一つとして、皮脂腺に対する直接作用が示唆される。α-MSHに関しては、ラットにおいてその生理作用がよく研究されている。ラットでは、α-MSHばsebotrophic hormone゙、すなわち、゙皮脂腺の男性ホルモンに対する感受性を増強させるような因子゙として考えられており、tes tosteroneと相乗的に作用することにより、皮脂分泌を促進する可能性が、また皮脂腺に対して直接的に影響を及ぼす可能性が示唆されている。われわれの実験結果より、α-MSH単独では、培養ヒト脂腺細胞の細胞増殖に著明な影響を及ぼさないことが判明した。また、testosteroneによる培養ヒト脂腺細胞への細胞増殖促進作用に対するα-MSHの影響を検討したところ、その増殖促進作用をさらに促進することが判明した。この事実は、α-MSHがヒトにおいても゙sebotrophic hormone゙として働いている可能性を示唆するものと考える。またその作用機序に関しては、α-MSH単独では培養ヒト脂腺細胞の細胞増殖に著明な影響を及ぼさなかったことより、α-MSHが脂腺細胞の男性ホルモンに対する受容体に何らかの影響を及ぼしている可能性が示唆される。TSHおよびα-MSHの培養ヒト脂腺細胞の脂質生成に及ぼす影響については、現在検討中である。
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