1995 Fiscal Year Annual Research Report
統計学的解析による肝癌の陽子線照射効果予測因子の検討及び適応基準作製
Project/Area Number |
07770717
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
千葉 俊也 筑波大学, 臨床医学系, 助手 (40261797)
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Keywords | 原発性肝癌 / 放射線治療 / 陽子線 |
Research Abstract |
局所制御成績に影響を及ぼす因子を検討する目的で、Cox比例ハザードモデルによる多変量解析を行った。1983年11月〜1995年3月までに陽子線照射が施行された肝細胞癌患者117名(男性93名、女性24名、平均年齢61.3歳)139病変のうち、照射部位の変化が6ヶ月以上観察可能であった(主にCTによる)111病変を解析対象とした。局所制御成績に影響を及ぼす可能性のある因子として、1)照射部位、2)照射野内腫瘍数、3)照射野内最大腫瘍径、4)併用療法の有無(6ヵ月以内)、5)TDF、6)呼吸同期の有無、の6つを取り上げ、多変量解析を行った。各因子の単変量解析結果を次に示す。1)照射部位;右葉93病変(再発6病変)、左葉18病変(再発1病変)であった(P=0.9944)。2)照射野内腫瘍数;1個102病変(再発7病変)、2個以上9病変(再発なし)であった。3)照射野内最大腫瘍径;腫瘍径は1.0cm〜10.0cmで、平均3.9±2.1cmであった。5cm未満は85病変(再発4病変)、5cm以上は26病変(再発3病変)であった(P=0.2775)。4)併用療法の有無;陽子線単独50病変(再発6病変)、併用61例(再発1病変)であった(P=0.0570)。併用療法はTAE(Lipiodol-targeted chemoembolizationを含む)が58病変、TAE+PEITが2病変、PEITが1病変であった。5)TDF; TDFは64.1〜187.4で、平均168.2±19.5であった。170未満は45病変(再発3病変)、170以上は66病変(再発4病変)であった(P=0.9333)。6)呼吸同期の有無;「なし」が35病変(再発3病変)、「あり」が76病変(再発4病変)であった(P=0.9258)。照射野内腫瘍数を除く5つの因子について、多変量解析を行った結果、統計学的に有意な因子は認められなかった。唯一、併用療法の有無が局所制御に影響を及ぼしている傾向があった(P=0.0507)。すなわち、陽子線単独群は併用療法群に比較して8.7倍再発の危険がある可能性が示唆された(Oddsratio=8.723,95%Confidence Interval=0.994-76.571)。陽子線単独50病変(再発6病変)、併用61例(再発1病変)の累積局所制御率は、1年;97.6%vs100%、2年;80.5%vs100%、3年;80.5%vs94.4%で、有意に(P=0.0242)併用群で良好であった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Matsuzaki Y, et al.: "New, effective treatment using proton irradiation for unresectable hepatocellular carcinoma." Internal Medicine. 34. 302-304 (1995)
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[Publications] 松崎靖司、ほか: "肝細胞癌における集学的治療法-新しい陽子線治療の適応選択に関する研究" がん治療のあゆみ. 14. 94-100 (1995)
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[Publications] 辻比呂志、ほか: "筑波大学における陽子線治療の初期治療成績" 日本放射線腫瘍学会誌. 7. 303-313 (1995)
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[Publications] Osuga T, et al.: "Section VII: Therapy. Radiation. Okuda & Tabor: Liver Cancer." Okuda K, Tabor E, editors. London: Churchill Livingstone., 30 (1996)