1995 Fiscal Year Annual Research Report
放射線治療による二次がんと染色体の高頻度切断点の関係に関する実験的解析
Project/Area Number |
07770721
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伴 信彦 東京大学, 医学部(医), 助手 (70251220)
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Keywords | 放射線 / 染色体異常 / マウス / 急性骨髄性白血球 |
Research Abstract |
放射線による染色体切断と放射線誘発がんの関連について検討するために、以下の実験を実施した。 8週齢のC3H/He雄マウスに^<137>Csγ線3Gyを全身照射し、照射終了24時間後に大腿骨より骨髄細胞を摘出して染色体標本を作成した。DAPI(4',6-diamidino-2-phenylindol)とactinomycin Dで二重染色を施してコントラストの良いQ-バンドを生成し、核型分析を行って、染色体型異常における染色体切断の頻度をバンドごとに集計した。 5匹のマウスについて、1匹あたり50個、計250個の分裂中期像を観察し、構造的異常を有する分裂中期像101個の中に、232の染色体切断点を同定した。マウスの急性骨髄性白血球(AML)との関連が深い2番染色体に着目すると、5匹のうちの1匹において、異常頻度が高い傾向が見受けられた。そこで、このマウスについては、さらに32個の分裂中期像を追加観察したところ、計82個の分裂中期像の中に2番染色体の切断が13認められ、他の4匹(200個の分裂中期像の中に2弁染色体の切断が9)より明らかに2番染色体の異常頻度が高いことがわかった。 2番染色体上での切断点の分布については、2番染色体の異常の頻度が高いマウスと他のマウスの間に、大きな差異はなかった。しかし、染色体異常の種類についての比較では、前者に中間部欠失が多く認められた。2番染色体の中間部欠失は、AMLに特徴的な染色体異常であることから、放射線による染色体異常がC3H/HeマウスのAML誘発に関係しているならば、AMLになりやすい個体が存在する可能性が示唆された。
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