1995 Fiscal Year Annual Research Report
酸素関連傷害部位の選択的認識を目指した新しい脳機能マーカーの開発研究
Project/Area Number |
07770747
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 文彦 九州大学, 薬学部, 助手 (40253471)
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Keywords | 脳 / 虚血 / 低酸素 / フッ素18標識 / ミソニダゾール / ラット / 増感剤 |
Research Abstract |
フルオロミソニダゾール(FMISO)の脳移行性改善を期待して、脂溶性の高い新規トレーサ化合物^<18>F-プロピルアゾマイシン(^<18>FPN)をデザインし、その合成法の開発及び脳機能マーカーとしての初期評価を行った他、ミソニダゾール系化合物の集積機序解明のためのモデル反応の追跡を行った。更にFPNの生物活性評価の為、低酸素細胞に対するインビトロ放射線増感効果を調べた。 ^<18>FPNはトシル前駆体と^<18>Fアニオンを用いて、全合成時間50分、放射化学的収率43%(未補正)で得ることに成功した。 初期評価として^<18>FPN投与後の正常ラット生体内放射能分布を調べた結果、特に脳への放射能取込みピークは投与後5分までの短い時間に到達し、脱フッ素代謝も受けにくかった。このことから導入したF-プロピル基によって効果的に脂溶性が増し(logP=0.28),FMISOよりも脳移行性が最善したことが判明した。全脳虚血再灌流ラットを用いた^<18>FPN投与30分後の各脳組織分布の観察では、虚血前の投与した群では嗅球、海馬、線条体、大脳皮質のコントロール群より23〜29%の顕著な取込み増大が、また再灌流直後に投与した群では線条体に21%の増大がみられた。このことからFPNはFMISOの虚血脳取込みを改善するには至らなかったが、同程度の取込み増大性を保持することが判明した。 インビトロ還元代謝モデル反応では、FPNを還元条件下でグアノシンと反応させHPLCで追跡した。その結果、FMISO等と同様にイミダゾール環分解物の一部がグアノシンの結合した複合体を形成することが強く示唆された。現在^<18>F-NMR等を用いた構造解析を検討中である。 更に、lmMのFPNを用いて低酸素下CHV79細胞に対する放射線増感率(SER)を調べた。FPNはSER=1.81を示し、FMISO(SER=1.60)と同等以上の優れた放射線増感効果を有することがわかった。 以上の知見を参考に、より優れた脳機能マーカーのデザインを現在検討中である。
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