1995 Fiscal Year Annual Research Report
腎不全時のインスリン様成長因子(IGF)及びIGF結合蛋白の動態に関する検討
Project/Area Number |
07770842
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
福田 いずみ 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (80238477)
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Keywords | インスリン様成長因子(IGF) / インスリン様成長因子結合蛋白 / 腎不全 |
Research Abstract |
腎不全時のIGFs及びIGF結合蛋白(IGFBPs)の動態に関する検討を行ない以下の成績を得た。(1)慢性腎不全症例の血中IGFBP-2値をWestern immunoblot(WIB)法,IGFBP-3値をIRMA法にて測定するといずれも正常者に比し有意に増加していた。IGFBP-2値は腎移植術後14日以内には減少せず術後1年以上が経過した症例で正常化しており,血中IGFBP-2値は腎移植後早期には腎機能のみならず術後の蛋白異化亢進等の調節因子により修飾を受けている可能性がある。一方,IGFBP-3値は術後1日目に速やかに正常化したが,術後,拒絶反応が強く腎機能が悪化した症例の一部で再上昇を認めた。(2)慢性腎不全症例でのIGF-IIの血中存在様式をゲル濾過で検討すると,正常者と同様に150kDa,40kDaのIGF-IGFBP複合体が認められたが,腎不全ではこのうち40kDaのIGF-IGFBP複合体の占める比率が増加していた。また,Western ligand blot,WIBで検討したところ慢性腎不全では正常者に比し,IGF-IIと結合して40kDa複合体を形成しているIGFBP-2,-6の増加がみられた。(3)急性,慢性腎不全ラットを作製し血中IGFs,IGFBPsと臓器(肝,腎)でのIGFBPs mRNAの発現を検討した。慢性腎不全ではヒトと同様に血中IGFBP-2,-6の増加を認めたが血中IGFs,臓器におけるIGFBP-2,-6 mRNAの増加は認めなかった。急性腎不全ではIGFs,IGFBPs,IGFBPs mRNAとも明らかな変化を呈さなかった。以上の成績から慢性腎不全症例では主として腎からの排泄障害により血中IGFBPsの増加がみられるが,血中に増加したIGFBPsはIGFsと結合する能力を有し,腎不全におけるIGFsのbioavailabilityを変化させている可能性が示唆された。
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[Publications] 福田いずみ 他: "膵外性腫瘍に伴う低血糖" 内分泌・糖尿病科. 1. 210-215 (1995)
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[Publications] 福田いずみ 他: "内分泌系の生理" Climinal Engineering. 6. 57-63 (1995)
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[Publications] 福田いずみ 他: "内分泌機能検査の実際 GH系" ホルモンと臨床. 43. 5-14 (1995)
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[Publications] N. Hizuka, K Asakawa-Yasumoto, I Fukuda et al.: "Hypoglycemic effect of IGF-II is acted through mainly insulin and/or IGF-I receptor but not IGF-II receptor." Clinical Pediatric Endocrinology. (in press). (1996)