1995 Fiscal Year Annual Research Report
アストロサイトに発現するFGFおよび他の非分泌性因子の生物学的意義に関する研究 -特にFGFの生理活性の制御機構について-
Project/Area Number |
07771118
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
上口 裕之 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10233933)
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Keywords | 線維芽細胞増殖因子(FGF) / アストロサイト / サイトカイン / FGF-binding protein / 神経再生 |
Research Abstract |
ラット新生仔海馬由来の培養アストロサイトをinterleukin-1β (IL-1β), tumor necrosis factor-α (TNF-α), epidermal growth factor (EGF)といったサイトカインにより刺激し、細胞抽出液中のbasic fibroblast growth factor (bFGF)をQuantitative Western blottingにより定量した。アストロサイトには18,22,24-kD bFGF isoformが発現しており、サイトカインにより22,24-kD isoformの発現量の増加が認められたが、18-kD isoformの発現量は変化しなかった。また、ラット胎仔脳培養系におけるGF AP陽性細胞数を指標としてbFGFの生物活性の検討を行った結果、サイトカインはアストロサイト抽出液中のbFGF活性を増強することが判明した。一方、アストロサイト抽出液中に12,16,18 kDの分子量をもつFGF-binding proteinが存在し、acidic FGFにもbFGFにも結合能を有することが判明し、FGFの生理活性を制御している可能性が示唆された。 bFGFは組織の再生のみならず腫瘍の悪性化因子としても注目されており、18-kD isoformはtumorigenecityに、22,24-kD isoformはregenerationに関与することを示唆する所見が報告されているが、中枢神経系における各々のisoformの役割は不明である。本研究の結果は、アストロサイトにおけるbFGF isoformの発現パターンおよびFGF-binding proteinの存在がbFGFの生理活性の制御に重要であり、また、脳損傷時に損傷部位に供給される上記サイトカインによる22,24-kD bFGF isoformの選択的増量が、神経再生過程において重要であることを示唆するものである。
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Research Products
(1 results)