1995 Fiscal Year Annual Research Report
同種骨付膝蓋靱帯を用いた膝前十字靱帯再建術における免疫学的検討
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07771154
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
武田 芳嗣 徳島大学, 医学部・附属病院, 助手 (20243694)
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Keywords | 前十字靱帯 / 同種移植 |
Research Abstract |
6ヶ月から8ヶ月のニュージーランド白色家兎10羽(体重約3.5kg)の両側膝関節より大腿四頭筋一骨付膝蓋腱10本を採取し、-80度で3週間以上冷凍保存した。この際、脾臓を採取し脾細胞を培養した。これを5X10^6個/mlとし、レシ-ピエントとなる6ヶ月のニュージーランド白色家兎に毎週3mlづつ2回静脈注入した。2回目の注入後1週間後に移植腱を使用し前十字靱帯再建を行った。同時期に脾細胞を注入していない6ヶ月から8ヶ月のニュージーランド白色家兎10羽(体重約3.5kg)に、同様に前十字靱帯を切離した左膝に移植し再建した。移植後3、6、12週目に屠殺し、移植靱帯を採取した。この際、手術膝の50%に著しい癒着を認めたため、評価不能であった。最終的に免疫増強群4羽、コントロール群6羽の移植靱帯について光顕にて組織学的に比較検討した。移植後3週では、両群ともに、移植腱の大腿骨側、脛骨側には部分的に血管の豊富な滑膜組織に被われていた。また表面には一部紡錘形細胞の浸潤が認められた。術後6週では両群とも線維芽細胞の浸潤が拡がり、滑膜組織は移植腱の全体を被っていた。一方、移植腱の内側では組織の壊死を認めた。術後12週では、両群ともに細胞浸潤がさらに増強していた。以上より、ドナーの脾細胞での免疫増強操作は、移植12週までには移植腱の成熟課程に影響を及ぼしていなかった。しかし、本実験では実験モデルの約半数が癒着をおこしており、前十字靱帯再建の動物モデルとしてサイズが小さく不適当であったと思われる。一方免疫増強のための脾細胞は、兎がinbredではないため、レシ-ピエントの兎のみからしか採取できないため、細胞数に限界があり、十分な免疫増強効果が得られていなかった可能性もある。したがって、本研究の結果のみから、同種腱移植が再建前十字靱帯の成熟化に影響を及ぼさないとは結論しえない。
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