1995 Fiscal Year Annual Research Report
運動負荷が成長期の筋の骨格系に与える影響に関する実験的研究
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07771177
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
牛久 尚彦 慶應義塾大学, 医学部・整形外科, 助手 (80232817)
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Keywords | 運動 / 骨端線 / ラット |
Research Abstract |
4週齢Wistar系雄ラット20匹を、10匹ずつ運動群と非運動群にわけ、運動群には最大酸素摂取量(VO2max)の80%の強度で、1日1時間、週5日、12週間トレッドミルによる走行運動を負荷した。運動負荷終了時に、体重、下腿筋重量、右脛骨の骨長および骨幹中央部の骨周径を測定した後、右脛骨を採取した。脛骨骨組織を70%エタノールで固定した後、Villanueva bone stainを行い、メチルメタクリレートに包埋した。ついで5μm厚の脛骨近位部の矢上断薄切切片および脛腓骨癒合部の輪状断薄切切片を作製し、骨端線部分の成長軟骨の観察と海綿骨および皮質骨の骨形態計測を行った。12週間の運動によりVO2maxは約20%増加した。また体重は約20%減少したにもかかわらず、下腿筋重量は約10%増加した。運動群は非運動群より脛骨の骨長が有意に短かかったが、骨周径は有意に大きかった。非運動群の成長軟骨は残存するものの、運動群のそれはすでに骨化していた。脛骨の海綿骨量および皮質骨量は、運動群が非運動群より有意に大きかったが、これは組織学的にはremodelingの抑制とmodelingの促進によるものと考えられた。以上から、成長期における過度の運動は、荷重骨の横軸方向の成長を促進させるが、骨端線の閉鎖を早め長軸方向の成長を抑制することが示唆された。今後は骨端線に対し、サフラニン染色を行い基底相、静止相、増殖相、肥大相の各相についての観察を行い、骨端線閉鎖のmechanismの検討を行う予定である。
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