1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07771183
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
小田 治男 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (10204207)
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Keywords | コラーゲン膜 / basic fibroblast growth factor / 関節軟骨 |
Research Abstract |
近年、basic fibroblast growth factor(bFGF)を関節内投与すると、関節軟骨欠損部に軟骨組織が誘導されてくることが報告されている。また我々は、最近膝関節の関節形成術に際し、コラーゲン膜を中間挿入膜として用いると、関節内の癒着を防止し得ることを見いだしている。そこで、本研究では、ウサギの膝関節軟骨を広範囲にわたって切除し、bFGFを吸着させたコラーゲン膜で同部を被覆することにより関節軟骨の再生が生じるか否かについて検討した。すなわち、ウサギ膝関節の大腿骨顆部関節面の軟骨を広範囲にわたって切除し、bFGFを吸着させたコラーゲン膜で関節軟骨欠損部を被覆するように縫合固定した。術後3週以降、経時的に同部の組織標本を作製して抗II型コラーゲン抗体染色と、アルシアンブルー染色を行い、bFGF非吸着コラーゲン膜群と比較検討した。その結果、術後12週の時点では、脛骨大腿関節腔は両者ともに温存されており、介在するコラーゲン膜は細片化し、その周辺には、多数の多核巨細胞の浸潤を伴う滑膜の増生がみられた。軟骨切除部の再生組織は、いずれも線維性組織によって置換されており、アルシアンブルーでわずかに染色され、線維軟骨の形成が認められた。特にbFGF吸着コラーゲン膜群では、再生組織はやや厚く、基底部近くの基質にわずかながら抗II型コラーゲン抗体染色に対する染色性がみられた。 コラーゲン膜は、癒着防止に必要な期間、関節内に破損されることなく存在し、その後関節切除端での線維軟骨とともに分解、吸収されるが、この間、一部の線維軟骨には、bFGFにより関節軟骨の再生が生じることが示唆された。今後さらにコラーゲンならびにプロテオグリカンcDNAをプローブに用いてin situ hybridizationを行い、軟骨分化の状態を検討する予定である。
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