1995 Fiscal Year Annual Research Report
人工関節置換術後の関節破壊の成因と病態に関する実験的研究-生化学的・免疫組織学的研究-
Project/Area Number |
07771188
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
千葉 純司 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (90211375)
|
Keywords | 膜様組織 / マクロファージ / 走化性因子 / 細胞接着分子 / サイトカインレセプター / PT-PCR / 摩耗粉 / 骨吸収 |
Research Abstract |
人工股関節周囲の膜様組織におけるマクロファージの異常活性化および浸潤機構につき,走化性因子,細胞接着分子の発現,およびサイトカインレセプターの動態について免疫組織学的に検討を行い,病変局所でのこれらサイトカインの遺伝子発現について,RT-PCR(Reverse transcription-Polymerase chain reaction)法を用いて検索を行った。人工股関節周囲の膜様組織においてMCP-1,RANTES,ICAM-1,VCAM-1,TNF-α,およびmTNF-R1の各mRNAの発現を認めたが,免疫組織学的検討においてはRANTES陽性細胞は認められなかった。以上のことより,マクロファージの病変局所の浸潤メカニズムに少なくともMCP-1,ICAM-1,VCAM-1,TNF-α,およびmTNF-R1が関与している可能性が示唆された。さらにTNF-αとmTNF-R1がautocrine的にほぼ同一の細胞で発現していたことより,TNF-αの発現が増強する際にはmTNF-R1の発現も強くなっていることが示唆された。 一方、人工関節周囲のlooseningに伴う骨吸収の原因を究明するためにビ-グル犬の大腿骨内にTi合金,Co合金,ポリエチレンの3種類のインプラントを挿入し生体内で生じる人工関節の摩耗粉(金属粒子ポリエチレン粒子)と同等のサイズ,形状を呈した摩耗粉を加えた群と加えなかった群とに分け,インプラント周囲の骨変化を組織学的に検討した。摩耗粉を加えなかった群ではインプラント周囲に骨増殖を認めたが,摩耗粉を加えた群ではインプラント周囲に膜様組織(マクロファージの異常活性化および浸潤)が形成され骨吸収を認めた。このように,われわれは人工関節置換術後の摩耗粉がインプラント周囲の骨吸収に深く関わっていることを実験モデルを用いて証明した。
|
-
[Publications] 千葉純司: "人工股関節周囲骨吸収像における走化性因子,細胞接着分子,およびサイトカインレセプターの役割について" 日本整形外科学会誌. 69(8). 1649 (1995)
-
[Publications] Junji Chiba: "BIOCHEMICAL AND MORPHOLOGICAL ANALYSES OF ACTIVATED HUMAN MACROPHAGES AND FIBROBLASTS BY HUMAN POLYEYHYLENE PARTICLES" Combined Orthopaedic Research Societies Meeting. 2. 23 (1995)
-
[Publications] Junji Chiba: "The role of chemokine, adhesion molecules, and cytokine receptor in the interface tissues of failed total hip arthroplasty with femoral osteolysis" Transactions of Orthopaedic Research Society. 21. 514 (1995)