1995 Fiscal Year Annual Research Report
脊柱靱帯骨化症患者における脊柱靱帯細胞の細胞生物学的検討
Project/Area Number |
07771191
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
武者 芳朗 東邦大学, 医学部, 講師 (40229927)
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Keywords | 脊柱靱帯骨化症 / エストロゲン / TGF-β |
Research Abstract |
脊柱靱帯骨化症(以下OPLL)の成因につき本年度は以下の結果を得た。まずエストロゲンを培養脊柱靱帯に連続添加したときのTGF-β1、b-FGF生産能を測定したところ、western blot法ではOPLL群、Control群ともTGF-β1、b-FGFを産生することが確認できたが、両群に肉眼的な差は認めなかった。そこで測定方法を精度の高いRIA法に切り替え測定を行ったところ、添加全濃度平均でTGF-β1、b-FGF産生能はControl群に比しOPLL群で有意に高値を示した。これをエストロゲン添加濃度別にみてみるとControl群ではエストロゲン添加濃度3.7×10^<-6>Mで産生能が最大になったのに対し、OPLL群では添加濃度3.7×10^<-8>Mとより低濃度のエストロゲンに対し産生能が最大となった。これは現在までに我々が報告したOPLL患者は正常人に比し血清エストロゲン値が優位に高値を示すこと、またOPLL患者由来培養脊柱靱帯にはエストロゲン高親和性のホルモンレセプターが存在することを合わせて考えると、OPLL由来培養脊柱靱帯細胞がTGF-β1、b-FGFなどの骨化に関係する細胞増殖因子産生増加をきたす機序として、靱帯細胞内に存在するエストロゲン高親和性のホルモンレセプターが直接関与している可能性が示唆された。しかし、なぜOPLL患者脊柱靱帯細胞にそのようなレセプターが発現するのか、あるいは発現しやすい環境にあるかを突き止めるには至っておらず、今後の課題である。また、OPLL由来靱帯細胞をエストロゲンや各種増殖因子添加群と非添加群に分け長期継代培養したが、in vitroでは長期継代培養中に細胞の劣化が認められ、現在までに軟骨や骨細胞に類似する性格の細胞の発現は認められず、今後更なる継代培養や継代の工夫が必要と考えている。
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