1995 Fiscal Year Annual Research Report
硬膜外麻酔と各種薬剤の併用が肝酸素需給バランス・肝静脈血酸素飽和度に与える影響
Project/Area Number |
07771224
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木村 信行 名古屋大学, 医学部, 助手 (90262899)
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Keywords | 肝血流 / 肝静脈血酸素飽和度 / 硬膜外麻酔 / ドブタミン / アムリノン |
Research Abstract |
イソフルラン麻酔中の、犬の肝動脈血流および門脈血流は、カルボカインによる胸部硬膜外麻酔によって、それぞれコントロール値に比べ、平均約23%および10%の減少をみた。これに呼応して肝静脈血酸素飽和度も平均約10%の減少が起こった。この胸部硬膜外麻酔のよる肝血流減少作用は、ドブタミン3μg/kg/min.の投与によりほほ拮抗され、ドブタミン5μg/kg/min.の投与では、コントロールよりもむしろ肝血流量、特に門脈血流量は増加した。一方、アムリノンの投与では、予想に反し、10μg/kg/min.および20μg/kg/min.の投与でも、有効な肝血流量の増加は見られなかった。 今回の一連の実験では、肝動脈と門脈を剥離し、そこに電磁流量計を装着して測定を行ったが、リンパ液の流出がおびただしく、大量の輸液が必要になったことと、実験途中で循環血液量の低下からショックに陥る犬が少なくなかったことから、最終的な結果を出すための信頼できるデータが揃わないと判断し、途中、測定方法を見直しを行った。胸部硬膜外麻酔は、広範囲に交感神経系を遮断することから、肝臓の血流調節のダイナミクスにも影響を及ぼしていると考えられる。そこで、肝表面からレーザー血流計を用いて測定した肝血流を、コンピュータを用いて連続記録し、得られた時間系列データの周波数解析およびカオス解析を行うこととした。本研究は、この新しい測定システムを構築したところで、研究期間を終えた。今後は、この新しい測定システムを用いて研究を続けていく予定である。
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