1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07771265
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
齋藤 和彦 自治医科大学, 医学部, 助手 (30245047)
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Keywords | 局所麻酔薬中毒 / ブピバカイン / エピネフリン / アムリノン / セボフルレン / 心機能 |
Research Abstract |
目的:広く用いられている薬剤である局所麻酔薬の投与による重篤な合併症の一つに局所麻酔薬中毒がある。特に局所麻酔薬ブピバカインの中毒による循環不全は治療が困難であり,ブピバカインは“心毒性"を持つといわれている。現在,ブピバカイン中毒による循環不全に対してはエピネフリンが治療に用いられるが,その効果には疑問もある。我々はブピバカイン中毒の循環不全の治療においてphosphodiesteraseIII阻害薬であるアムリノンの効果をエピネフリンの効果と比較検討しその有用性を世界に先駆けて発表,報告した。今回はアムリノンとエピネフリンの投与量を変えてその至適量を求めるとともに循環動態の詳細な比較を行った。 方法:雑種成犬を用いたセボフルレン浅麻酔下において,ブピバカイン持続大量静脈内投与を行いブピバカイン中毒による循環抑制モデルを作成,循環抑制の治療としてアムリノンまたはエピネフリンを用いて治療を行った。アムリノンとエピネフリンの投与量を3段階にかえて同一の犬で3回の治療を行った。 結果:ブピバカイン中毒による循環不全の治療において,アムリノンは心収縮,拡張機能を改善するばかりではなく,心拍出量を増加させることにおいてエピネフリンよりも優れていることが判明した。また,アムリノン投与量が過剰であると一時的に低血圧をきたす可能性が,エピネフリン投与量が過剰であると不整脈をきたす可能性が示唆された。(第43回日本麻酔学会総会:ブピバカインによる循環抑制に対するアムリノンの投与量,発表予定)。 まとめ:局所麻酔薬中毒の治療薬としてのアムリノンの意義を確立する第一歩になったがさらなる研究が必要と考える。
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