1995 Fiscal Year Annual Research Report
帝王切開術前の糖質輪液の種類と胎児酸素化、エネルギー代謝の関連
Project/Area Number |
07771276
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
藤田 啓起 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (30268552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太城 力良 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20107048)
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Keywords | 帝王切開 / 輪液 / 酸素解離曲線 |
Research Abstract |
合併症のない予防帝王切開症例を対象に、母体の術前輪液製剤をブドウ糖添加群(以下G群)、マルトース添加群(以下M群)、糖質無添加群(以下C群)の3群に分類し、胎児娩出直後の母体動脈血および臍帯動静脈血の採血を行い、研究実施計画に従って、各々の測定を行なった。 1.糖代謝因子 G群でのみ、母体および臍帯血の血糖値の上昇と、それに伴う血漿インスリン値の上昇を認めた。C群に比して乳酸/ピルビン酸比はG群、M群でほぼ同等に抑制され、ケトン体の測定値もG群、M群でほぼ同等にC群に比して低値を示したことから母児の糖代謝促進は、G群、M群でほぼ同等と考えている。 2.酸素化能因子 血液ガス分析の結果、母体動脈血は、各群で差を認めなかったが、臍帯動静脈血では、G群でのみ酸素分圧の有意な上昇を認め、さらに、M群、G群で酸素飽和度、pHの上昇を認めた。 酸素解離曲線でのP50の算出の結果、母体血では3群間で差を認めなかったが、臍帯血ではC群に比し、G群さらにM群で有意に低値を示しその結果、母体と胎児のP50較差は増大することになる。すなわち、低酸素環境で生活する胎児にとって、母体から胎児への酸素運搬が容易となり、胎児にとって有利な環境であると推測される。 3.母体に糖質を投与した場合、新生児低血糖の有無について十分な観察が必要であるが、今回の研究結果では、重篤な低血糖およびその症状を呈した症例は認められなかった。 以上の測定結果をもとに、さらに統計学的考察を加えるつもりである。
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