1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07771288
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深沢 立 東京大学, 医学部(病), 助手 (90251305)
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Keywords | 前立腺癌 / 骨転移 |
Research Abstract |
前立腺癌の遠隔転移モデルとして2種類の動物実験モデルを作成した。第一はintra-cardiac injectionモデルで左心室内へヒト前立腺癌細胞株PC-3細胞220万個を注入した。これにより全身骨への広範な転移巣を形成し、腎丈夫の軟部組織にも転移を生じさせた。第二はorthotopic implantationモデルで、前立腺後葉にヒト前立腺癌細胞株PC-3細胞400万個を注入した。これにより前立腺部での腫瘍の形成と肺での腫瘍塞栓を生じさせた。これら各転移巣に対し光顕像・電顕像・各種レクチン(Lotus : Lotus tetragonolobus aglutinin、PHE-L : Phaseolus vulgaris aglutinin、ECA : Erythrina cristagalli aglutininなどを使用)による組織化学的手法を用いて臓器特異性について検討した。その結果、intra-cardiac injectionモデルでは光顕像では大差はなかったが、電顕像では軟部組織の転移巣に比して骨転移巣では、粗面小胞体が著名に発達し細胞活性の高いことが示唆され、細胞間ではfoot processは発達し隣接細胞との密接な関係が認められた。レクチン組織化学ではLotus、ECAによる糖鎖抗原の発現、局在の違いが示唆された。orthotopic implantationモデルでも、レクチン組織化学によるECA反応陽性物は軟部組織転移巣、前立腺部の腫瘍、肺の腫瘍塞栓で低いのに対し、骨転移巣では増強しており、骨転移巣では腫瘍細胞における糖鎖抗原が変化していることが示唆された。以上、前立腺癌の骨転移巣では腫瘍細胞の活性が高く、糖鎖抗原が変化していることが示唆され、これらが前立腺癌における遠隔転移で骨転移が多く認められるという臓器特異性の一因となっていると考えられた。
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