1995 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲン、プロゲステロンの血管構築細胞に及ぼす影響の分子生物学的検討
Project/Area Number |
07771370
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水野 公雄 名古屋大学, 医学部, 講師 (40252241)
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Keywords | 血管平滑筋細胞 / 単球 / 増殖能 / 遊走能 / エストロゲン / プロゲステロン |
Research Abstract |
動脈硬化発症に関わる血管構築細胞として、血管平滑筋細胞および単球を用いて動脈硬化発症機序に及ぼすエストロゲン、プロゲステロンの影響を以下の如く調べた。 (1)ヒト大動脈由来血管平滑筋細胞(AOSMC)、ヒト単球性白血病由来細胞(THP-1)におけるエストロゲン・レセプターの存在をウエスタン・ブロット法、ノザン・ブロット法にて確認した。 (2)AOSMCの増殖能に対するステロイドの影響を3H-チミジン取り込み能にて検討したところ、生理的活性の強い17β-estradiol(E2)は10^<-8>、10^<-7>、10^<-6>Mにおいて有意にAOSMCの増殖を抑制した。一方、progesteroneはAOSMCの増殖に有意な影響を与えず、またE2と同時に作用させても、E2の増殖抑制効果を阻害しない事が判明した。 (3)AOSMCの遊走能に対するステロイドの影響を(2)と同様にBoyden法にて検討すると、E2は10^<-8>、10^<-7>、10^<-6>Mにおいて有意にAOSMCの遊走を抑制した。 (4)血液中の単球のモデルとして用いたTHP-1における遊走能に対するステロイドの影響をBoyden法にて検討したところ、E2は10^<-8>、10^<-7>、10^<-6>Mにおいて有意にAOSMCの遊走を抑制した。 動脈硬化の発症機序はいくつもの段階から構成される事が知られているが、以上の結果からエストロゲンは、血管平滑筋細胞の遊走、増殖および単球の遊走を抑制する事が判明した。また、ホルモン補充療法の際にエストロゲンと併用されるプロゲステロンはエストロゲンのこれらの抗動脈硬化作用を阻害しない事が明らかとなった。
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