1995 Fiscal Year Annual Research Report
子宮体癌の予後に関与するフコシル化糖鎖の発現機構の解析 -フコース転移酵素の関与を中心に-
Project/Area Number |
07771402
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
加藤 真也 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80245547)
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Keywords | フコース転移酵素 / Lewis^b型糖鎖 / Le遺伝子 |
Research Abstract |
子宮体癌由来培養細胞株SNG-IIを免疫源として作製されたモノクローナル抗体MSN-1は組織化学的に正常子宮内膜とは殆ど反応しないのに対して子宮体癌組織とは高率に反応し、その組織反応性がよい症例ほど予後がよいことから、この抗体の認識抗原は子宮体癌の予後因子と密接に関係していると思われる。また、この抗体は少なくとも血液型関連糖鎖Lewis^bを認識することが判明している。そこでLewis^bの(Fuc α1-2 Gal β1-3 (Fuc α1-4) GlcNAc-)の構造のうちFuc α1-4という構造を構築するのに必須であるフコース転移酵素(FT-III)の遺伝子型と、MSN-1をはじめとする各種抗Lewis抗体の認識するフコシル化糖鎖の発現の有無との関連につき以下の実験を行った。 1.子宮体癌摘出組織を用いてMSN-1による免疫染色を行うとともに、各患者の末梢血白血球より抽出したDNAを使ってPCR-RFLPの手法によりFT-III遺伝子(Le遺伝子)の遺伝子型を検索し、両者の関連を検討したところ、FT-IIIが不活性型であり、Lewis^b型糖鎖を発現するはずのない症例でもMSN-1反応陽性であった。 2.そこで、各種Lewis型糖鎖に対する抗体を用いて子宮体癌組織50例を免疫染色したところ、MSN-1はLewis^b型糖鎖のほかにLewis^y型糖鎖も認識する可能性が示唆された。 3.この結果からMSN-1は両者の糖鎖に共通する非還元未満の〔Fuc α1-2〕という構造を認識する可能性が出てきたため、この構造を特異的に切断する酵素(α1-2 Fucosidase)で子宮体癌組織を処理し、MSN-1対する反応性を免疫組織化学的に検討したところ、その反応性の低下がみられたため〔Fuc α1-2〕という構造の存在がMSN-1との反応に必要であることが示唆された。
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