1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07771438
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
森 繁人 福井医科大学, 医学部・付属病院, 助手 (00221630)
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Keywords | 鼻粘膜繊毛運動 / マクロライド系抗生剤 / Caチャンネルブロッカー / 細胞内情報伝達機構 |
Research Abstract |
マクロライド系抗生剤エリスロマイシン(EM)、ロキシスロマイシン(RXM)は、鼻粘膜繊毛に対して運動賦活作用を有する。しかしながらその作用点や作用機序は不明である。今回は、この機序の一端を明らかにする目的で、薬理学的に繊毛運動の賦活を阻害する可能性があると考えられる薬剤、すなわちCaチャンネルブロッカー(ベラパミル)、を、副鼻腔炎手術の際摘出された、繊毛細胞に障害のないヒト篩骨洞粘膜にあらかじめ作用させたのち、20mg/LのEM、RXMを作用させ、繊毛運動活性の変化を電気光学的に検討した。なお前処理に用いた薬剤はいずれも単独で繊毛運動活性を阻害しないことを確認した。 20mg/Lのエリスロマイシン(EM)、ロキシスロマイシン(RXM)を単独で篩骨洞粘膜に作用させると、30分以内に10〜20%の繊毛運動賦活がみられた。この作用はCaチャンネルブロッカー(ベラパミル)により抑制されたが、βブロッカー(プロプラノロール)、ケミカルメディエーター遊離抑制剤、副腎皮質ホルモン剤(プレドニゾロン)、シクロキシゲナーゼ阻害剤(アスピリン-D-リジン)などの薬剤では抑制されなかった。 繊毛運動の賦活は、温度、pH、浸透圧などの環境因子をはじめ、繊毛細胞内情報伝達機構や、好塩基球や好酸球など組織を構成する他の細胞とのネットワークなどによっても規定されると考えられるが、繊毛運動賦活作用のある薬剤が、これらのメカニズムに対してどのように作用するのかは明らかではない。今回の結果から、マクロライド系抗生物質の鼻粘膜繊毛運動賦活作用には、鼻粘膜繊毛細胞のCaチャンネルが関与しているものと考えられた。今後さらに、これが細胞内情報伝達機構にどのように働きかけているかを、細胞内タンパク質燐酸化の面から検討していきたい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 森繁人他: "マクロライド系抗生剤の鼻粘膜繊毛運動に及ぼす影響" 耳鼻咽喉科展望. 38補(3). 220-227 (1995)
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[Publications] 森繁人他: "ノルフロキサシンの鼻粘膜繊毛運動活性に及ぼす影響" 耳鼻咽喉科展望. 38補(2). 124-129 (1995)
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[Publications] 森繁人他: "特異的抗原の鼻粘膜繊毛運動に与える影響" 耳鼻咽喉科免疫アレルギー. 13(2). 72-73 (1995)