1995 Fiscal Year Annual Research Report
デフェロキサミンの外リンパ灌流が蝸牛諸電位に与える影響について
Project/Area Number |
07771464
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
菅野 秀貴 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (70244390)
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Keywords | デフェロキサミン / 外リンパ灌流 / 蝸牛電位 |
Research Abstract |
今回の研究目的はあるデフェロキサミン(DEO)濃度をもった人工外リンパ液で,蝸牛鼓室会を灌流し,蝸牛諸電位,特に蝸牛神経活動電位(CAP),蝸牛マイクロホン電位(CM),蝸牛内直流電位(EP)に変化が生ずるかどうか観察することであった. まず.EPに関する実験より開始した.研究実施計画では蝸牛基底回転に穿った小孔よりガラスピペットを蝸牛管に挿入して,人工外リンパ液を灌流する予定であった.しかし,EP測定のために経血管条法でガラスピペットを同じく蝸牛管に刺入しながら,人工外リンパ液灌流用ガラスピペットを挿入することはEP測定用のガラスピペットと灌流用のガラスピペットがかなり接近して技術的にもかなりな困難を伴うこと,灌流用のガラスピペットの挿入により血管条が損傷を受けて,その損傷のためにEPに変化を来してしまう可能性のために変更を余儀なくされた.よって,人工外リンパ灌流のためのガラスピペットは正円窓膜経由で,鼓室階に挿入された.EPは第2回転の蝸牛管より記録した.測定されたEP値は55-65mV程度であり,この電位は少なくとも1時間程度は安定して測定できる電位であることを確認した.そのうえで正円窓より鼓室階に挿入したガラスピペットより人工外リンパを灌流した.通常の人工外リンパ液で鼓室階を灌流したときにも記録されたEP値に変化は認められなかった.次にDFOを含んだ人工外リンパ液で灌流するとEPの低下が認められが,EFOによるものかどうか判断を下すにはさらに例数を増やして,DFO濃度を変えて,検討しなければならない. CM,CAPに関する実験は,まだ始まったばかりで,技術的な困難を克服中である.測定のためのワイヤーを鼓室階・前庭階に挿入するわけであるが,穿った小孔より外リンパの漏出が生じ,各々の電位の低下を生ずる恐れがあった.小孔をフィブリン糊で密閉すると外リンパの漏出はなくなり,安定した電位測定が行えそうである.
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