1995 Fiscal Year Annual Research Report
Na-K ATPase 遺伝子内のDNA反復配列の異常増幅と白内障発生との関連
Project/Area Number |
07771516
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
関根 康生 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (80241818)
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Keywords | 白内障 / 水晶体 / PCR / くり返し配列 / Micro Sutellite DNA / Na-K ATPase / 遺伝的多型 / SSCP |
Research Abstract |
白内障発生と水晶体のNa-K ATPaseの活性低下とは深い関係があることが広く知られている。従来はNa-K ATPaseがS-H基を多く持つ膜蛋白であることから、過酸化反応は、free radicalとの関連が取りざたされてきた。近年、遺伝子内のMicro satellite DNAの反復数の異常増加が、晩発性の疾患の原因として注目されてきている。そしてNa-K ATPase geneには三塩基反復(trinucleotide repeat)が多く存在しており、その数の個人的相異が多型として存在する可能性がある。従って、水晶体の変性疾患である白内障において、三塩基反復数の個人的相異や加令による反復数の異常増加が白内障発生の原因として関与している可能性が示唆されたため本研究を施行した。 発生原因不明の白内障患者(138名)及び、同地域、同年齢域の白内障非発生者(62名)合計200名を対象とした。対象者の血液によりDNAを抽出し上記の三塩基反復数の個人的相異と白内障発生との相関の解析を行った。方法としてはNa-K ATPase geneのβ subunit(accession No.M25161)のIntron1に含まれる、(CAT)_n=(No.2700-2732)と(GCC)_n=(No.1441-1464)を含む領域の二つを別々にPCRで増幅し、その増幅産物をSSCP法などを用いて増幅産物の塩基数の変異および配列の変異をも検出するべく実験を施行した。 しかし、今回の方法では残念ながら(CAT)_nと(GCC)_nを含む二つの領域ともに、PCR産物の総塩基数においてSSCP法でもシークエンスゲルを使用した総塩基数の測定にても、ほぼ全ての検体において個人的相違は認められなかった。今回は全くのnegative dataであり論文発表はできないが、次回はターゲットを他の有効な部分に絞り込み、PCRシークエンス法などの直接測定法を含めた有効な手段を用いて研究を発展させていきたい。
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