1995 Fiscal Year Annual Research Report
家兎眼水晶体上皮細胞の創傷治癒過程におけるアポトーシスの発現
Project/Area Number |
07771564
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
加藤 克彦 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00224494)
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Keywords | 水晶体上皮細胞 / 創傷治癒 / アポトーシス / 免疫組織化学 / TUNEL法 |
Research Abstract |
1.目的:後発白内障は、その形成に術後水晶体嚢内に残存した水晶体上皮細胞の増殖・分化が関わっており、術後早期の水晶体上皮細胞の挙動を明らかにすることは後発白内障の発生を予防するうえで重要であるとともに創傷治癒過程の解明にも役立つ。一般に、創傷治癒においては、過剰な修復が行われた後に細胞の脱落が起こることが知られており、皮膚などではこの過程にアポトーシスが関わっているといわれている。そこで、水晶体摘出術後の創傷治癒過程においてアポトーシスが発現しているか否か、及びその発現の時期を検討した。 2.方法:体重約2kgの白色家兎に対して水晶体摘出術を行った後、術後14日まで細隙灯顕微鏡による観察と写真撮影を行うとともに経時的に眼球を摘出し、パラフィン切片を作成した。通常の光顕的観察を行うとともにTUNEL法(TdT-mediated dUTP-biotin nick end labeling)によりアポトーシスの発現の有無を観察した。 3.結果:術後8〜9日目には、前嚢切開縁から後嚢中央側へ発展していた細胞の脱落が観察され、同部位にTUNEL陽性細胞が観察された。また、前嚢切開縁付近の前・後嚢接着部付近には5日目以降に紡錘形の細胞が出現し、この中にTUNEL陽性細胞が散見された。この部位の陽性細胞は7〜10日目までに比較的多く存在し、14日目にはほとんど観察されなかった。 4.結論:水晶体上皮細胞の創傷治癒過程においてもアポトーシスが関与しているものと思われた。また、家兎眼では、過剰な増殖の後のアポトーシスは主として術後7〜10日目に生じているものと推察された。現在電顕によるアポトーシスの証明を行っているところである。
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