1995 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄の定量的電気刺激により三叉神経脊髄路核に発現するFos蛋白の同定
Project/Area Number |
07771678
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
坪井 美行 日本大学, 歯学部, 助手 (50246906)
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Keywords | c-fos / 三叉神経脊髄路核尾側亜核 / 第一頸髄 / 歯髄 / 開口反射 |
Research Abstract |
上下顎犬歯および臼歯歯髄を定量的に電気刺激することにより,三叉神経脊髄路核および第一頸髄(C1)に発現するc-fos様蛋白質陽性細胞(c-fos LI cell)の分布様式を検索した。本研究では歯髄刺激強度を歯髄刺激により誘発される開口反射の刺激閾値を1.0とし、その相対値として表した(_xJOR Th.)。実験にはα-chloraloseで麻酔した成ネコ20匹を用いた。上下顎犬歯および臼歯の歯髄刺激により発現するc-fos陽性細胞は主に三叉神経脊髄路核尾側亜核(MDH)およびC1表層に多数認められた。歯髄刺激強度が1.0_x JOR Th.の時にはc-fos陽性細胞はほとんど発現しなかったが、2.0 _x JOR Th.になるとMDHおよびC1の表層に少数認められた。また、さらに刺激強度が4.0 _x JOR Th.および6.0 _x JOR Th.と増加するとc-fos LI cellの数は有意に増加した(p<0.05)。さらに、刺激強度が4.0 X JOR Th.および6.0 _x JOR Th.の時には、MDHおよびC1表層だけでなく深層おいても多数の陽性細胞が出現した。このような刺激強度増加に伴う陽性細胞の増加は、数だけでなく分布領域の拡大を伴っていた。また、異なる歯の歯髄刺激により発現するc-fos陽性細胞は、MDHおよびC1内において空間的に異なる分布様式を示していた。その分布は、上顎犬歯歯髄刺激により発現したc-fos LI cellはMDHおよびC1の正中部に近い領域に、上下顎臼歯、下顎犬歯刺激により発現したc-fos LI cellは外側部に主に認められた。しかし、このような分布様式の違いは、刺激強度が6.0 _x JOR Th.と強くなると、次第に不明確になった。この結果は、MDHおよびC1に分布する侵害受容ニューロンが歯髄に加えられた刺激強度情報の符号化だけでなく、数および空間的広がりとして侵害情報を中枢に伝えていることを示唆している。
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[Publications] 岩田幸一: "Anatomical connection of the ventral, but not the dorsal part of the striatum with the parvicellular reticular formation" Neuroscience Research Communications. (発表予定). (1996)
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[Publications] 岩田幸一: "Brain and Oral Function" Elsevier Sicence B.V., 648 (1995)