1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07771724
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
板垣 由美 東北大学, 歯学部, 助手 (10223067)
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Keywords | 血行性感染 / 菌血症 / 実験的歯髄炎 |
Research Abstract |
本研究では感染根管(根尖病巣)が同一口腔内の無菌的炎症巣へ及ぼす影響を検討するため、実験動物(ネコ)を用いて犬歯を抜髄後、根管内にStr. sanguis(ATCC10556)の細菌懸濁液を注入して感染根管を作成し、他の歯には熱刺激、化学的刺激あるいは機械的刺激等を加えて無菌的な歯髄炎を惹起させた。そして一定期間後、犬歯に注入したStr. sanguisが他の無菌的炎症歯髄から検出されるか否かを観察したが、4w後までは認められなかった。 Str. sanguis懸濁液を根管内にではなく静脈中に直接接種した場合でも、炎症歯髄から同細菌が検出される割合は非常に低かった(熱刺激を加えた歯髄では4/69例、化学的刺激時は0/27例、機械的刺激時は0/12例)。そこで菌種により血行性感染の成立に差が生じる可能性を考慮し、他菌種を静注した場合の損傷歯髄への定着度を検討した。まず、ネコの非開放性感染根管から分離したGroup D Enterococcus sp.を静注したところ、非常に高い割合で炎症歯髄から同細菌が検出された(熱刺激では5/9例、機械的刺激時は13/15例)。今後はさらに様々な菌種による血行性感染の発生率を比較検討し、同時に歯髄の炎症状態との相関関係も検索していく予定である。
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