1995 Fiscal Year Annual Research Report
IL-4が歯周炎病態の制御に及ぼす影響についての基礎的研究
Project/Area Number |
07771788
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
宮澤 康 昭和大学, 歯学部・歯周治療学教室, 助手 (90219775)
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Keywords | 抗炎症性サイトカイン / 歯肉線維芽細胞 / IL-1レセプター / 細胞画分IL-1α |
Research Abstract |
ヒト歯周線維芽細胞(HGFs)にrhIL-1β(2.5ng/ml)で刺激を加えた場合、培養上清中にコラゲナーゼ、プロスタグランディンE_2が分泌され、細胞画分にIL-1αを有意に産生誘導することが等教室における一連の研究で明らかになった。このIL-1αの活性はIL-1βで刺激を加えた後、固定したHGFs細胞層上に置いたマウスカルバニアの骨吸収を有意に促進することも解明された。歯周組織破壊や歯槽骨吸収に関連すると思われるこれら諸因子の産生制御は歯周病の病態形成メカニズムを解明するうえで重要である。 今回、抗炎症性サイトカインであるIL-4(10ng/ml)を添加することでIL-1β刺激により産生誘導された細胞画分IL-1αの産生が抑制されることがわかった。また、培養上清中のコラゲナーゼ、プロスタグランディンE_2産生量も抑制される傾向が認められた。ポジティブコントロールとしてIFN-γ(1000U/ml)でプライミング刺激した場合、IL-1αの産生量は約2倍から3倍まで増加した。^<125>I-IL-1βを用いたレセプター結合アッセイを行ったところ、細胞表層IL-1レセプター発現数はIL-1β単独刺激の場合、1well当たり2.57pMであり、IL-1βとIL-4の同時添加の場合は2.14pMと、IL-1αの産生量に比例した約20%の減少が確認された。しかし、IL-4のプライミング刺激の場合は同時添加の場合と差が認められなかった。また、IFN-γプライミング刺激はIL-1レセプター発現数を約2倍上昇させた。Scatchard analysis分析を行うと、レセプターの親和性はIL-4添加の場合は解離定数Kd=170.1, IFN-γプライミングの場合はKd=172.4と差は認められなかった。以上よりHGFsにおけるIL-4のIL-1α産生制御にはレセプターを介した機構、特にレセプターの発現数が関与する可能性がある。同時に現在、細胞外に産生されるIL-1レセプターアンタゴニスト量がIL-4添加により影響を受けるかどうかについてELISA法にて検討中である。
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