1995 Fiscal Year Annual Research Report
歯原性腫瘍におけるEGF,EGFレセプター,PCNAの発現とその臨床病理学的意義
Project/Area Number |
07771915
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
笠原 和恵 北海道大学, 歯学部・附属病院, 助手 (60250461)
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Keywords | 歯原性腫瘍 / EGF / EGFレセプター / PCNA |
Research Abstract |
歯原性腫瘍のほとんどは、顎骨に出現する良性腫瘍とされながらも、エナメル上皮腫に代表されるように浸潤性発育を特徴とし、複雑な発育様相を示す腫瘍が多く含まれている。本腫瘍の発育、予後に関する検討は、従来から、臨床的、X線学的、組織学的見地からなされてきたが、免疫組織化学的見地から検討した報告は極めて少ない。そこで今回、申請者は、北海道大学歯学部附属病院で治療し、病理組織学的に歯原性腫瘍と診断された生検材料や手術材料から作製した病理組織標本ならびに新鮮凍結標本を用いて、免疫組織化学的にEGF、EGFレセプター、PCNAの発現および組織局在を検索し、臨床病態や病理組織学的所見との関連性について検討し以下の点が明らかになった。 1.エナメル上皮腫において、EGF、EGFレセプター、PCNAの発現および組織局在は症例により、また、同一症例においても部位によりかなり異なっていた。 2.このような差異は標本の固定条件、保存条件が大きな要因と考えられた。 3.比較的条件の一定であった症例での検討では、PCNAの発現は、叢状型よりも濾胞型の増殖パターンを示す腫瘍で多数みられ、腫瘍の発育様式との関連性が示唆された。 4.EGFレセプターの発現は、扁平上皮化生を示す胞巣に比較的多く見られ、腫瘍の分化傾向との関連性が示唆された。 以上、本研究により、歯原性腫瘍におけるEGF、EGFレセプター、PCNAの発現は、腫瘍の発育様式、増殖、分化傾向と密接な関連があることが示唆されたが、詳細に関しては今後さらに検索する必要がある。
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