1995 Fiscal Year Annual Research Report
抗Fas抗体を用いた免疫染色法の扁平上皮癌における臨床病理学的診断への応用
Project/Area Number |
07771967
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
村木 祐孝 九州歯科大学, 歯学部, 助手 (20265002)
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Keywords | Fas抗原 / アポトーシス / 免疫組織化学 / 扁平上皮癌 / 分化度 |
Research Abstract |
我々の研究室では、細胞にapoptosisが起きる際のマーカーとしてFas抗原に注目し研究を進めてきた。その過程で、我々は独自の抗Fas抗体を用いた酵素抗体免疫法および免疫Blotting法によって、口腔粘膜上皮にFas抗原が存在し、その分子量が35K Daであることを証明した(Yoshioka et al.,In press)。さらにFas抗原が口腔関連各種疾患において特異的な発現様式を示すことが明らかとなってきたため、今回は特に口腔扁平上皮癌におけるFas抗原の発現に着目して検索を行った。研究成果の概要を以下に示す。 1.(1)今回検索可能であった口腔扁平上皮癌一次症例の生検時標本は80例であった。 (2)これら一次症例で術前化学療法のみを行い外科的手術療法を施行した50例を対象に、化学療法施行前におけるFas抗原の発現率と臨床ならびに病理組織学的治療効果との関連性について検討を行った。 2.(1)Fas抗原の発現は腫瘍組織の分化度が高いほど有意に発現率が高かった。特に高分化型では90%以上の症例においてFas抗原の発現を認めた。 (2)化学療法が奏功した症例においては化学療法前よりFas抗原の発現が認められる傾向にあった。 (3)臨床的ならびに病理組織学的奏功度の高い症例においては化学療法によってFas抗原の発現が増す傾向にあった。ただし著しく奏功した症例においては腫瘍細胞の消失によってFas抗原の発現率も低下していた。 今回Fas抗原の発現率と予後との関連性を臨床統計学的に比較検討するまでには至らなかったが、臨床病理学的奏功度との関連性から判断して、口腔扁平上皮癌患者の予後を判定する上で有用な手段となり得ることが示唆された。
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Research Products
(1 results)