1995 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌周辺にみられる異常上皮の悪性潜在能に関する細胞化学的研究
Project/Area Number |
07771993
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
河原 健司 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (80247311)
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Keywords | 悪性潜在能 / 細胞化学的研究 / 口腔粘膜癌 / 実験的誘発癌 / 異形成上皮 / 顕微分光測光 / 核DNA量 / DNA ploidy pattern |
Research Abstract |
7週齢のゴールデンシリアンハムスター雄20匹の左頬嚢粘膜に対し、週3回、9,10-dimethyl-1,2-benzanthracene0.5%アセトン溶液を10週間塗布した。塗布終了後、5週まで経時的に屠殺し、組織学的、細胞化学的検察を加えた。組織学的検索の結果、20匹すべてに扁平上皮癌の発生を認めた。組織学的に癌は、外向性増殖を主体とする疣贅型と深部増殖を主体とする浸潤型に大別された。疣贅型は高分化で、粘膜上皮と連続性にみられた。浸潤型は中分化のものが多く、多中心性であった。 癌の周辺粘膜上皮には、肥厚、過角化を示すものが多く、乳頭状の上皮増殖や軽度から高度の上皮異形成など多彩な変化が認められた。これらの変化は頬嚢内に連続性かつ多発性に認められた。 核DNA量の検索では、パラフィン包埋したブロックより単離細胞塗抹標本を作成、Feulgen染色を施した。この標本を顕微分光測光法を用い、Feulgen DNAの光学濃度を測光し、パソコンにてデーター解析を行い核DNA量ヒストグラムを作成した。この他に分散値と4C以上の細胞頻度を求めた。その結果、癌のDNA ploidy patternはaneuploidy Patternを呈するものが数多く認められた。分散値と4C以上の細胞頻度では、正常粘膜に比べて明らかな異常所見を呈した。また、浸潤癌の方が疣贅癌に比べ分散が大きく、4C以上の細胞頻度も高かった。周辺異常上皮ではdiploidyとaneuploidyを示すものの両者が認められた。周辺異常上皮の分散と4C以上の細胞頻度は、癌と正常粘膜上皮の中間的な値を示していた。上皮異形成の程度との関係では、DNA ploidy pattern、分散値と4C以上の細胞頻度との間には明らかな関連性は認められなかった。
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