1995 Fiscal Year Annual Research Report
新しい口腔癌マーカーエンザイムとしての血清ジペプチジルペプチダーゼIV-担癌患者血清中の本酵素活性低下の原因について-
Project/Area Number |
07771998
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
上松 隆司 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (40203476)
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Keywords | 血清ジペプチジルペプチダーゼIV / 口腔癌 / CD26 / 腫瘍マーカー / 末梢血Tリンパ球 |
Research Abstract |
本研究は,口腔癌患者の血清DPPIV活性低下の原因を解明することを目的とし,健常人および口腔癌患者の末梢血リンパ球を用いて検討した結果,以下の知見を得た. (1)癌患者の末梢血リンパ球数,Tリンパ球数,CD4およびCD8陽性細胞数は,健常人にくらべ癌患者では約1/2に低下していた.(2)血清DPPIV活性と末梢血リンパ球,Tリンパ球(CD3陽性細胞),CD4およびCD8陽性細胞数との間には正の相関がみられたが,CD3陰性細胞数とは相関がみられなかった.CD3陽性26(DPPIV)陽性細胞数において,健常人ではDPPIV活性と正の相関を認めた.癌患者では相関がみられなかった.(3)血清DPPIV活性と末梢血リンパ球細胞膜DPPIV活性の間には強い正の相関がみられたが,癌患者のTリンパ球細胞膜DPPIV活性は約1/3に低下していた.また,Western blot法でTリンパ球細胞膜CD26(DPPIV)蛋白を比較すると,健常人にくらべ癌患者では、約1/2であった.(4)末梢血リンパ球を培養すると,癌患者では健常人にくらべ増殖反応は低下しており,蛍光抗体法によるCD26抗原発現の観察でも,癌患者の培養リンパ球では抗原の発現が低下していた.(5)末梢血リンパ球をTリンパ球刺激物質(PHA, Con A)や増殖因子(IL-2)を添加して7日間培養すると健常人にくらべ癌患者のリンパ球の増殖反応は低下していた.リンパ球の増殖能とともに,リンパ球におけるDPPIV活性および培養上清中のDPPIV活性は,健常人では増加したが,癌患者ではともにわずかな増加しかみられなかった.(6)培養リンパ球抽出液のCD26抗原(DPPIV)蛋白をWestern blot法で比較したところ,健常人にくらべ癌患者のCD26抗原蛋白は減少していた.本研究の結果より,口腔癌患者の血清DPPIV活性低下の原因の1つとして,末梢血Tリンパ球におけるCD26(DPPIV)の発現とそれにともなう細胞外への移行の低下が強く関与していることが明らかとなった.
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Research Products
(1 results)