1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07772007
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 隆昭 北海道大学, 歯学部・附属病院, 講師 (40230560)
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Keywords | 審美性 / 矯正用ワイヤー / 繊維強化複合材 / CPSA系ガラス繊維 / PMMA |
Research Abstract |
強化繊維としてCPSA系ガラス繊維を、マトリックス材としてPMMA(三菱レイヨン製VH種)を用い、引抜き成形法を利用して繊維強化複合材型の線材料を加工し、それらの3点曲げ試験を行った。実験結果から、試作線材料のヤング率はその繊維体積分率に比例して約20から40GPaまで可変で、たわみ2.0mmまでの範囲で発揮される荷重値はNi-Ti基、Co-Cr基の0.016"φ線材料にほぼ相当することがわかった。さらに、試作線材料の荷重-たわみ曲線にはたわみ2.5mm付近で破断に類似した挙動が生じ、アクションレンジが小さいことがわかった。 この破断の原因を解明するために、さらに実験を進めた。試料には従来のVH種を用いた線材料に加え、可塑剤添加によって可撓性を増したPMMA(三菱レイヨン製IR-D-70種)を用いた線材料を試作した。その結果、荷重-たわみ曲線上の破断に類似した挙動はIR-D-70種を用いた試料のほうでより顕著に認められることがわかった。破断の原因として、(1)内部応力の過剰負担によるガラス繊維の破断、(2)ガラス繊維-マトリックス材界面におけるすべりによる層間剪断、(3)マトリックス材の成形性の良否に起因する気泡混入などの欠陥、が仮定された。(1)の点から、マトリックス材にはVH種以上の強さが必要であると考えられた。(2)からは、界面の接着強度ならびにマトリックス材とカップリング材との相性についてさらに実験を行う必要がある。(3)に関しては、予備試作を行い成形性を十分に把握することで対応することを考えている。これらの問題はアクションレンジの拡大を含む複合材料の機械的特性の向上にも影響を与えるものなので、今後さらに詳細な検討を必要とすると考えられる。 CPSA系ガラス繊維は、リン酸塩溶液で処理することによってリン酸カルシウム質化合物で被膜された生体材料用ガラスとなる。この処理を行ったガラス繊維を用いて線材料を試作したところ、未処理での機械的特性を損なうことなく生体親和性を増すことが可能であった。
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