1995 Fiscal Year Annual Research Report
ウ-ロン茶抽出物中の抗齲蝕性ポリフェノールに関する基礎研究とその臨床応用
Project/Area Number |
07772020
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
南 貴洋 大阪大学, 歯学部・附属病院, 助手 (00263294)
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Keywords | ミュータンスレンサ球菌 / 齲蝕 / ウ-ロン茶 / ポリフェノール |
Research Abstract |
ウ-ロン茶ポリフェノールは,ミュータンスレンサ球菌の産生する酵素グルコシルトランスフェラーゼ(GTase)によるグルカン合成を特異的に阻害し,顕著な齲蝕抑制効果をしめすが,我々はさらに,抗GTase活性以外のミュータンスレンサ球菌に対する作用について検討した.その結果,ウ-ロン茶ポリフェノールはミュータンスレンサ球菌を含む口腔レンサ球菌の菌体疎水性を著明に低下させることが明らかとなった.さらに、ウ-ロン茶ポリフェノールはこれらの口腔レンサ球菌に対して極めて強い菌体凝集活性を有していた.ミュータンスレンサ球菌が口腔内に定着するには,菌体が歯面上のペリクルと疎水結合,静電結合,レクチン様結合などを介して付着する一次付着と,それに引き続いて,スクロールより合成される付着性のグルカンによって歯面に強固に付着し,プラークを形成する二次付着の二段階があると考えられている.ウ-ロン茶ポリフェノールが菌体疎水性を低下させ,菌体凝集活性も有していることは,ミュータンスレンサ球菌が付着性のグルカンによって歯面に強固に付着する以前の,一次的な歯面への定着も阻害している可能性が示唆された.次に,ウ-ロン茶ポリフェノールを齲蝕予防剤として実用化するにあたって,より効果的な投与法を検討するため,SPFラットを用いた実験齲蝕系においてウ-ロン茶ポリフェノールの投与開始時期を変化させて齲蝕抑制効果を比較検討した.その結果,ミュータンスレンサ球菌の感染前より投与を開始した実験群においてもっとも齲蝕は抑制され,投与開始が遅れるにしたがってその効果は減少した.これは,ウ-ロン茶ポリフェノールの実用にあたって,可能なかぎり早期からの投与が,より効果的な齲蝕予防につながることを示している.
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