1995 Fiscal Year Annual Research Report
有限要素法を用いたラット顎顔面頭蓋の大きさと形の成長変化の遺伝学的研究
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07772031
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柳田 憲一 九州大学, 歯学部, 助手 (40260723)
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Keywords | 顎顔面頭蓋の成長発育 / 遺伝要因と環境要因 / 有限要素法 / 側方頭部X線規格写真 |
Research Abstract |
顎顔面頭蓋は多数の骨より構成される複合体であり、そのひとつひとつの骨がポリジーンによる影響を受けている。そしてその成長発育の過程においては、これら遺伝要因と環境要因の相対的な影響の度合いは複雑に絶えず変化していると考えられる。しかしながら顎顔面頭蓋の大きさと形の成長を、遺伝学的観点から統合的に検索した研究はまだ多くみられていない。 本研究では、雄親ラットとして大型系統のWKA/MKQdjを、雌親ラットとして小型系統のPVG/C.Seaを選び、また正逆交配として、雄親ラットとしてPVG/C.Seaを、雌親ラットとしてWKA/MKQdjを選んだ。そしてこれらの2系統の間の交配より生まれた雄のF1児ラットの出生後より成獣に成長するまでの顎顔面頭蓋の成長変化を、側方頭部X線規格写真法を用いて観察した。頭部X線規格写真撮影に供するF1仔ラットは、10日齢から80日齢までとし、35日齢までは5日間隔で、40日齢以降は10日間隔で撮影した。そして有限要素法を応用して、顎顔面頭蓋の大きさと形の成長変化の過程における遺伝要因の関与の度合いについて解析したところ、遺伝的なつながりのより強いラット同志の顎顔面頭蓋の大きさと形の類似性が、より高い傾向にあることが明らかとなった。このことは、ラット顎顔面頭蓋の大きさと形の成長変化に遺伝要因が関与しており、また顎顔面頭蓋の大きさと形の定量法として、有限要素法が有用であることを示唆するものであった。しかし、顎顔面頭蓋のどの部位において遺伝要因が大きさと形に大きく関与しているのかまだ明らかになっていない。そこで今後は顎顔面頭蓋のどの部位の大きさと形がより遺伝要因の影響を強く受けているかさらに解析を進めていこうと考えている。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Mortin DA,Nonaka K,Yanagita K,Nabata M: "The effect of dam strain on the craniafacial morpho genesis of CL/Fr mouse fetuses" J Craniofac Genet Dev Bial. 15. 117-124 (1995)