1995 Fiscal Year Annual Research Report
PI3キナーゼ阻害剤ワ-トマンニンの合成と生物有機化学的展開
Project/Area Number |
07772088
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中田 雅久 早稲田大学, 理工学部, 助教授 (50198131)
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Keywords | ワ-トマンニン / PI3キナーゼ / バイオロジカルツール / 放射性同位体 / アフィニティークロマトグラフィー |
Research Abstract |
本研究では、PI3キナーゼの強力な阻害剤、ワ-トマンニンをバイオロジカルツールとして利用する研究展開を目指した。バイオロジカルツールとしては、(1)ワ-トマンニンをリガンドとしたアフィニティクロマトグラフィー (2)放射性同位体を導入したワ-トマンニン誘導体(標識化合物)を考えた。これらの合成には、PI3キナーゼの阻害活性を保持しているワ-トマンニン誘導体が必要であった。そこで既存の構造活性相関のデータから、ワ-トマンニンの17位のカルボニル基周辺に構造修飾を施せば、その目的に合った誘導体が得られると我々は予想した。この予想のもとに幾つかのワ-トマンニン誘導体を合成し、それらのPI3キナーゼ阻害活性をin vitroで測定したところ(東京大学薬学部堅田教授に測定を依頼)、いずれにおいても2〜3桁の活性低下が観察された。この結果は、既存の構造活性相関とは異なる傾向にあり、新たな知見を得たと言える。 ワ-トマンニンは反応性に富んだフラン環を有し、実際その部位で速やかに化学反応を起こして開環体を与えことより、その部位でPI3キナーゼと共有結合を生成すると思われる。本研究で得られたワ-トマンニン誘導体をリガンドとするアフィニティークロマトグラフィーを使用すれば、2〜3桁の活性低下を見込んでも、ワ-トマンニンPI3キナーゼ複合体が形成され、PI3キナーゼに結合する未発見のタンパク質を単離精製可能であるので、アフィニティークロマトグラフィーの作成を現在検討中である。 また、放射活性なヨウ素を含む誘導体の合成に成功し、その標識体を利用してPI3キナーゼの触媒ユニットを初めて標識できたこと、従来のPI3キナーゼのサブユニットとは、制御様式等の異なる新たなサブタイプを確認できたことは特筆すべき成果である。
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[Publications] Hiroshi Kurosu: "Radiolabeling of Catalytic Subunits of PI3-Kinases with 17β-Hydroxy-16α-[^<125>I]iodowortmannin: Identification of Gβγ-sensitive isoform as a complex composed of 46-kDa and 100-kDasubunits" Biochem. Biophys. Res. Commun.216. 655-661 (1995)
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[Publications] Shinobu Honzawa: "17β-Hydroxy-16α-[^<125>I]iodowortmannin,A Sensitive Labelling Agent for PI3-Kinases" Chem. Pharm. Bull.43. 2276-2278 (1995)