1995 Fiscal Year Annual Research Report
末梢性痛覚過敏発現機構におけるNO-cyclic GMP系の役割に関する研究
Project/Area Number |
07772201
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
中村 明弘 福山大学, 薬学部, 講師 (70172393)
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Keywords | dorsal root ganglia / 一酸化窒素 / cyclic AMP / cyclic GMP / ケミカルメディエーター / カプサイシン / ブラジギニン / アデノシン |
Research Abstract |
1.アダルトラットの後根神経節細胞の初代培養方法の確立とカプサイシン感受性神経細胞の存在の確認:8週令のyoung adult ratより後根神経節(DRG)を摘出し初代培養を行った。培養条件を確立した結果、知覚神経細胞に富んだカルチャーと非神経細胞(シュワン細胞や線維芽細胞)に富んだカルチャーの両者を個々に得ることに成功した。知覚神経細胞に富んだカルチャーにおいてコバルト染色法によりカプサイシン感受性を調べたところ,培養知覚神経細胞中約50%の神経細胞がカプサイシン感受性を示した。 2.知覚神経培養細胞中に存在するNO合成酵素:NADPH diaphorase染色方を用いて,NO合成酵素が培養知覚神経細胞中に存在するか検討した。その結果,NADPH deaphorase陽性神経細胞の存在を確認することができた。したがって,NO合成酵素が培養知覚神経細胞中に存在していると考えられる。 3.炎症時のケミカルメディエーター投与時の知覚神経細胞内のcyclic GMP量とcyclic AMP量の変化:代表的なケミカルメディエーターであるブラジキニンを培養液中に添加すると,培養細胞内のcyclic GMP量とcyclic AMP量の両者が共に増加した。一方,カプサイシンは培養細胞内のcyclic GMP量のみを増加し,cyclic AMP量には有意な影響を及ぼさなかった。筆者は行動薬理学的実験によりアデノシンが末梢性痛覚過敏を発現することを明らかにした。このアデノシンを培養液中に添加すると,培養神経細胞内のcyclic AMP量のみを増加し,cyclic GMP量には有意な影響を及ぼさなかった。これらの結果は,行動薬理学的には末梢性痛覚過敏を誘発する炎症時のケミカルメディエーター類も,種類によって知覚神経への作用様式(セカンドメッセンジャーに及ぼす影響)が異なることが明らかとなった。
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